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遠隔画像診断を導入! 弱点は意外なところに

2018/05/24
薬師寺 泰匡(岸和田徳洲会病院救命救急センター)

 近年、画像診断の技術は向上し、短時間に高密度の情報が得られるようになりました。一方で、その高密度な情報をしっかりと吟味できる知識がなければ、意味をなしません。検査の絨毯爆撃と表現されることもあるように、全身のCT画像を撮っても、その情報を処理しきれないのであればただ爆撃して終わり。放射線を浴びせるだけになってしまいます。

 ERでは、内科疾患から外傷まで多岐にわたる部位の画像検査を行います。しかし、判断に難渋することも往々にしてあります。同僚の意見も参考にしたいと思いつつ、それが叶わないというときもありますし、初療医と後で画像を見た医師とで意見が食い違うことはざらにあります。放射線科医が全ての画像診断を24時間体制で行なっており、ディスカッションもいつでもできるという体制であれば困らないのかもしれませんが、そんな病院は珍しいと思います。

遠隔画像診断ってどうなの?
 いつでも放射線科の読影をということで、本邦でも遠隔画像診断サービスが提供され始めており、院内に放射線科医がいなくても読影レポートがもらえるような体制になっている医療機関も増えています。最近はフィルム読影からモニタでの画像読影が主流になっており、データを院外に送ることで画像診断ができるのです。PACS(Picture Archiving and Communication System:院内の医療用画像管理システム)の画像情報は、遠隔画像診断用サーバで遠隔画像診断データセンターを介して読影医に送ったり、直接読影医の端末に送ったりという方法がありますが、どちらにせよ、情報セキュリティは気をつけなくてはなりません。これもコストのかかる話になります。

 当院ではありがたいことに、今年度から遠隔画像診断システムを導入し、救急外来で運用が開始されました。

オンコール医師の手元にiPadを
 常に各科の専門医が当直している体制であればもちろんそれが望ましいのですが、当院は残念ながらそこまでの体制を提供できていません。なので、当直医以外に緊急で何かをお願いするときにはオンコール医師への連絡となります。

 そうしたとき、おおよその病状と検査所見、画像所見を伝えますが、画像の説明はなかなか難しいものです。例えば脳出血。CTでどこにどのくらいの大きさの、何スライスくらいの出血所見があって、脳幹部を圧迫しているような所見があるかないか、活動的な出血を示唆する所見があるかないかなどを伝えますが、当然百聞は一見にしかず。医師であれば自分で画像を見たいと思うはずです。画像検査をして、判断に悩むたびにオンコール医を呼び出すのも、呼ばれる方は大変だし、呼ぶ方もちょっと気が引けるものです。手元に画像を共有できれば、診療はよりスムーズになるはず!

 で、当院ではオンコール医師にiPadを持たせることになりました。救急科専門医が当直帯にいない日には僕も救急科のオンコールになるので、そういった日には僕もiPadを持ち、相談窓口になります。ポケベルを持ってオンコール待機していた時代から、いつしか携帯電話を持つようになり、ついにはタブレット型端末を持ってオンコール待機する時代に突入したわけです(個人的にはポケベルは公私ともに使ったことがありませんが)。

使い勝手は非常に良い!
 実際に使用するにあたり、いろいろ実験しました。画像はきれいに見えるし(画像1)、普段iPadを使用するときのように、ピンチで画像の大きさを変えられたり移動させたりできます(画像2)。CTなどはスクロール表示できるので、非常に使いやすいです。

著者プロフィール

薬師寺泰匡(薬師寺慈恵病院)●やくしじひろまさ氏。富山大学卒。岸和田徳洲会病院(岸徳)での初期研修を経て救急医療の面白さに目覚め、福岡徳洲会病院ERで年間1万件を超える救急車の対応に勤しむ。2013年から岸徳の救命救急センターで集中治療にも触れ、2020年からいきなり管理職。地方二次救急病院で診療しながら、岡山大学の高度救命救急センターでますます救急にのめり込んでいる。

連載の紹介

薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」
ER×ICUで1人盛り上がる救急医。愉快な仲間達と日本一明るい救命センターを目指して日々奮闘し、「ER診療の楽しさ」の伝承にも力を入れています。出会った患者のエピソードや面白かったエビデンス、ERを離れた救急医の日常までを綴ります。

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