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「骨盤矯正」「肩甲骨剥がし」って何なんだ?

2017/11/02
薬師寺 泰匡(岸和田徳洲会病院救命救急センター)

 今年も岸和田だんじり祭が終わりました。例年に比べて、本当に救急搬送が少なくなりました。ついに、1日の搬送件数が40件程度にまでなりました。これは数年前の半数くらいです。何が変わったのでしょうか。以前も書きましたが、これは設備の変化もあるでしょうけれども、町の皆さんが熱中症対策を真剣に行ってくれたからだろうと思っています。祭りの様子を見ていると、しっかり休憩を取りつつ、水分摂取をしつつ参加されているのを目にします。熱中症になってからの対策も必要ですが、ならないようにするという事が徹底されていることこそが重要であると改めて実感しました。この変化は全国からもっと注目されてもいいのではないかと思っています。

 さて、そんなだんじり祭ですが、怪我をしてしまう人はまだまだいらっしゃいます。地車から落ちて受傷、綱から弾き飛ばされて転倒受傷など、普通の転倒に比べるとエネルギーの高い受傷起点となります。骨折してくる人も珍しい話ではありません。

どうする骨盤骨折
 骨折の中でも、骨盤骨折は特に厄介です。骨盤骨折の治療は、出血が激しいようであれば血管内治療による止血を行うほか、転位が大きければ骨盤の外固定を行うこともあります。これはシーツやサムスリングなどの簡易固定具を使ったものから、創外固定(皮膚の上から骨盤にスクリューを打ち込んで、外から固定具を使って骨をできる限り元の位置に戻して固定)まであります。プレートなどを用いた内固定を行うこともあります。

 そんなに転位が大きくなければ保存的に加療する事が多いですが、ズレを直すことは出血コントロールにもなります。また、しっかり固定しておけば早くからリハビリ可能という利点も得られます。骨折の整復と血管内治療をしつつ、他の損傷の修復をするという同時介入ができたら最高です。当院もパーフェクトにできるような体制が取れればとは思うのですが、外傷診療体制についてはまだまだ他の救命救急センターに習うことが多いです。

著者プロフィール

薬師寺泰匡(薬師寺慈恵病院)●やくしじひろまさ氏。富山大学卒。岸和田徳洲会病院(岸徳)での初期研修を経て救急医療の面白さに目覚め、福岡徳洲会病院ERで年間1万件を超える救急車の対応に勤しむ。2013年から岸徳の救命救急センターで集中治療にも触れ、2020年からいきなり管理職。地方二次救急病院で診療しながら、岡山大学の高度救命救急センターでますます救急にのめり込んでいる。

連載の紹介

薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」
ER×ICUで1人盛り上がる救急医。愉快な仲間達と日本一明るい救命センターを目指して日々奮闘し、「ER診療の楽しさ」の伝承にも力を入れています。出会った患者のエピソードや面白かったエビデンス、ERを離れた救急医の日常までを綴ります。

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