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デグーって何? 齧歯類のアナフィラキシー

2016/05/26
薬師寺泰匡(岸和田徳洲会病院救命救急センター)

 とある休日診療。「救急車も落ち着いたし、外来診察をやるぞー」と思い、問診票を手にとって診察室へ。問診票には、トリアージナースによる来院時のバイタルサイン、患者さんによる自身の訴えや既往歴、薬歴、アレルギー歴などが記載してあります。トリアージで、緊急度が高いと判断された患者の問診票は外来ブースに置かれることなく、救急搬入スペースに持ち込まれて、迅速な対応がなされます。つまり、外来に問診票があるということは比較的落ち着いた状態であるということになります。

 一応手に取った問診票のバイタルサインをチラッと見て、安定していることを確かめて呼び出し。

「○○さーん、診察室4番へどーぞ!」

 さてさて、この人はどうして来たのかなと思いながら問診票を眺めると、「デグーに噛まれて手が腫れてきた」とあります。デ、デグー!? 何だそれ!!??

 いまさら問診票をもっと読み込んでから患者さんを呼び込めばよかったと後悔したけれど、後の祭り。数秒後には患者さんが診察室に入ってきてしまいます。問診票に書いてあることへの対応が見えてこないなどということは、研修医以来かもしれません…。初心に返るとはこのことです。こんな不安な気持ちで研修医は日々頑張っているんだな。ちゃんと教えてあげないといけないなぁ…。

デグー??? …アグー?
 しかし、今は他人の苦労を気遣っている場合ではありません。初めて聞いた「デグー」という単語で、頭の中は混乱してしまっています。そうだ、デグーは知らないけどアグーなら知っています。琉球のブタですね。沖縄の勉強会へ赴いた時に食べ、非常に満足した記憶があります。まぁ、焼いたアグーには噛みつきたいけど、噛まれたくはないですよね。僕はアグーに噛まれたことはないので、アグーには良い思い出しかありません。というわけで思い出すだけで良い気分になりそうですが、デグーは多分アグーではありません。そしてアグーに思いを馳せる余裕は今ありませんし、患者さんが診察室に向かっているのであろう足音が近づいてきます。

 ていうかデグーって何やねん!?(2度目)

 そういえばゴンズイに刺された人が来た時、僕だけゴンズイを知らなくて研修医はみんな知っていたということがありました(毒魚にやられた!)。自分は世間知らずだと、あのとき反省したわけです。世間一般のことは研修医に聞いた方が知っているかもしれません。僕は謙虚に研修医に教えを請おうかと思ったのですが、ポケットの中に文明の利器が入っていることを思い出しました。手元のiPhoneでgoogle大先生に質問です。

著者プロフィール

薬師寺泰匡(薬師寺慈恵病院)●やくしじひろまさ氏。富山大学卒。岸和田徳洲会病院(岸徳)での初期研修を経て救急医療の面白さに目覚め、福岡徳洲会病院ERで年間1万件を超える救急車の対応に勤しむ。2013年から岸徳の救命救急センターで集中治療にも触れ、2020年からいきなり管理職。地方二次救急病院で診療しながら、岡山大学の高度救命救急センターでますます救急にのめり込んでいる。

連載の紹介

薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」
ER×ICUで1人盛り上がる救急医。愉快な仲間達と日本一明るい救命センターを目指して日々奮闘し、「ER診療の楽しさ」の伝承にも力を入れています。出会った患者のエピソードや面白かったエビデンス、ERを離れた救急医の日常までを綴ります。

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