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バルサルバ手技で頻脈になる!?

2015/11/26
薬師寺泰匡(岸和田徳洲会病院救命救急センター)

 救急車で動悸を主訴に患者さんが搬送されてくる事がしばしばあります。

患者「先生…胸がドキドキするんです!!」
「お嬢さん!それは恋ですぜ…」

 なんて言った日には僕は職を干されて資格を失い、旅芸人として第二の人生をスタートすることになりかねませんので実際にこんなことは言いません。もちろんきちんと治療するわけですが、今日はそんな胸がドキドキするという動悸の対応について触れてみます。

バルサルバ手技って聞いたことありますか?
 上室性頻拍の時にバルサルバ手技というのを試すことがあります。多分聞いたことある人がほとんどだと思います。Valsalva maneuver=バルサルバ手技は、イタリアの解剖学者、アントニオ・マリア・バルサルバが用いたことからその名前が付いています。息を止めて力むと、筋肉の緊張が起こっていつも以上の力が発揮できたり、心拍数が高まったりする現象を指します。

 え…。心拍数上がっちゃうの??

 そうなんです。バルサルバ手技では心拍数は上がります。ではどうして頻脈のときにあえてバルサルバ手技を用いるのでしょう?

 バルサルバ手技をすると何が起こるかを解説します。バルサルバ手技をしましょうという事で息をこらえると、胸腔内圧が上昇します。静脈系は血液を送り出す力が弱いので、胸腔内圧が上がると上大静脈・下大静脈に血液が流れにくくなり、心臓に還流する血液が減ります。

著者プロフィール

薬師寺泰匡(薬師寺慈恵病院)●やくしじひろまさ氏。富山大学卒。岸和田徳洲会病院(岸徳)での初期研修を経て救急医療の面白さに目覚め、福岡徳洲会病院ERで年間1万件を超える救急車の対応に勤しむ。2013年から岸徳の救命救急センターで集中治療にも触れ、2020年からいきなり管理職。地方二次救急病院で診療しながら、岡山大学の高度救命救急センターでますます救急にのめり込んでいる。

連載の紹介

薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」
ER×ICUで1人盛り上がる救急医。愉快な仲間達と日本一明るい救命センターを目指して日々奮闘し、「ER診療の楽しさ」の伝承にも力を入れています。出会った患者のエピソードや面白かったエビデンス、ERを離れた救急医の日常までを綴ります。

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