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細菌性髄膜炎にはカルバペネムファースト?

2015/08/13
薬師寺泰匡

 以前、細菌性髄膜炎の話を書きました。当院では疑った時点から30分以内に抗菌薬を投与しつつグラム染色をして、起炎菌同定につなげる努力をしています。

 当院での搬入後からの治療の流れを振り返るとこんな感じです。

(1)救急医:受け入れ、救急隊から申し送りを受ける、病歴から髄膜炎を疑う
看護師:モニターをつけてバイタルサインチェック
研修医:気道・呼吸の安定を確認、呼吸管理の必要性検討

(2)救急医:ざっと全身の診察をしつつ、付き添いがいるなら軽い病状説明と腰椎穿刺の同意を取る
看護師:前腕から静脈血採血、静脈ルート確保、血液検査と血液培養検体確保
研修医:反対側の上肢から動脈血採血、血液ガス検査と血液培養検体確保

(3)救急医:(カテーテル留置しつつ)尿検体を確保
看護師:咳や喀痰流出があるなら検体として痰を確保
研修医:カルテ記載しつつ検査オーダー

(4)救急医:頭部CTへ(必要なければいかない)
看護師:抗菌薬を準備して投与
研修医:腰椎穿刺準備

(5)救急医と研修医:腰椎穿刺と検体確保、グラム染色
看護師:記録と腰椎穿刺介助

(6)グラム染色結果を見て追加抗菌薬投与検討

(7)細菌検査室にも緊急で直接検査依頼

(8)他の意識障害や発熱の原因について検討

(9)ICUもしくはHCUで全身管理継続

 目標は(4)までを20分、(5)までを30分で完了することです。実際そんなもんです。多少のオーバートリアージは容認しています。

 で、問題は(4)で何を投与するか、グラム染色で明らかな起炎菌が同定できない場合にどうするかです。もちろん腰椎穿刺ができないような環境もありましょうから、そんな時どうするかが問題となります。

著者プロフィール

薬師寺泰匡(薬師寺慈恵病院院長)●やくしじひろまさ氏。富山大学卒。岸和田徳洲会病院(岸徳)での初期研修を経て救急医療の面白さに目覚め、福岡徳洲会病院ERで年間1万件を超える救急車の対応に勤しむ。2013年から岸徳の救命救急センターで集中治療にも触れ、2020年から薬師寺慈恵病院に職場を移し、2021年1月からは院長として地方二次救急病院の発展を目指している。週1回岡山大学の高度救命救急センターに出入りし、ますます救急にのめり込んでいる。

連載の紹介

薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」
ER×ICUで1人盛り上がる救急医。愉快な仲間達と日本一明るい救命センターを目指して日々奮闘し、「ER診療の楽しさ」の伝承にも力を入れています。出会った患者のエピソードや面白かったエビデンス、ERを離れた救急医の日常までを綴ります。

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