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ハーブよりハブ!島の医療と救急

2015/07/02
薬師寺泰匡

島に行きました!!
 先日、奄美大島の南の方にある瀬戸内町の病院に行ってきました。遊びに行ったわけではありませんよ…(汗)。もちろん受診したわけでもなく、仕事です。

 奄美空港から南方へ下ること1時間40分。奄美大島の南西部と加計呂麻島、与路島、請島を含む一帯が瀬戸内町です。人口9000人程の町で、当グループ病院の瀬戸内徳洲会病院がその地域の医療に携わっています。この病院には、島の医療の中心的役割を果たす内科医がいます。普段は瀬戸内病院で外来と入院診療を行いつつ、加計呂麻島の診療所で診察したり、それぞれの島へ訪問診療を行ったりしているようです。今回はこの病院で勤務するために奄美大島まで飛びました。

 その内科医はとにかく献身的に働いており、学会に行く時間はおろか実家に帰る時間もありません。そこでこの度、病院側から夏休みを取ってくれとお願いされたのです。で、その医師が休む間の代わりを務める人間がいないかなと見渡したところ、僕のお尻に白羽の矢が刺さりました。

「白羽の矢」
 冗談はさておき…白羽の矢とはそもそも生け贄の少女がいる家の目印に神様が立てていたものです。そういうわけで、通常白羽の矢は立つものであって、「刺さる」は誤用です。また白羽の矢は生け贄の象徴でしたから、あまり良いものの例えには使われてきませんでした。みんなのために選ばれた犠牲者という意味合いが強いのです。

 近年は良いものに選ばれたときにも「白羽の矢が立つ」というように使います。僕としても、今回は行きたくないところに無理やり行かされるというより、行きたい気持ちの方が強かったです。

 実はこの病院の内科医は僕と同年代の医師で、知らない仲ではありませんでした。彼の献身的な活躍は聞いていましたし、何かお手伝いできるならそんなに嬉しいことはありません。離島の病院を切り盛りすることがどれだけ大変かということは想像に難くありませんから…。岸和田の救急部のみんなも快く送り出してくれたので、ありがたかったです。

美しい島、奄美大島
 病院からも海が見えます。本当にきれいな海で、水も珊瑚も本当に素晴らしい。この後数日間病院に缶詰の予定で、マリンスポーツを楽しむ時間などありませんでしたが、この風景だけでも来た価値があったと思えるくらいです。離島医療、特に南方の島で働く医師達はこういう所での生活に魅かれて志願するのだろうかと思います。

著者プロフィール

薬師寺泰匡(薬師寺慈恵病院)●やくしじひろまさ氏。富山大学卒。岸和田徳洲会病院(岸徳)での初期研修を経て救急医療の面白さに目覚め、福岡徳洲会病院ERで年間1万件を超える救急車の対応に勤しむ。2013年から岸徳の救命救急センターで集中治療にも触れ、2020年からいきなり管理職。地方二次救急病院で診療しながら、岡山大学の高度救命救急センターでますます救急にのめり込んでいる。

連載の紹介

薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」
ER×ICUで1人盛り上がる救急医。愉快な仲間達と日本一明るい救命センターを目指して日々奮闘し、「ER診療の楽しさ」の伝承にも力を入れています。出会った患者のエピソードや面白かったエビデンス、ERを離れた救急医の日常までを綴ります。

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