日経メディカルのロゴ画像

それ気持ちいいの?危険ドラッグ中毒の悲しい話

2015/06/26
薬師寺泰匡

 最近、危険ドラッグ中毒の人を見なくなりました。中毒患者がいないならいないで幸いなのですが、流行り始めた頃はいろんなパターンで搬送されてきて、僕の記憶にその姿が刻まれたものです。

路上で暴れている人がいる!
→酒飲みながらハーブを吸入したところ、興奮状態となり手がつけられなくなったため、一緒にいた友人が救急要請。セクハラ、暴言の限りを尽くした結果警察に御用となった。友人の証言から診断がついた例。

交通外傷??
→乗用車で路肩に乗り上げている車がおり交通事故を疑って通行人が救急要請。窓ガラスにヒビがあった。本人は頭をアクセル・ブレーキペダルのあたりに潜り込ませて車内でもがいていた。事故でフロントガラスに頭をぶつけたのではなく、ラリってハイになってフロントガラスに頭突きしたらしい…。車内ではハーブを吸った形跡があり診断がついた例。

意識障害…
→自宅から搬送されてきた一児の父。部屋で寝ていたが、妻が呼び起こしても反応が乏しく救急要請。その際、自室から危険ドラッグが見つかり妻号泣。興味本位で使用した最初の1回だったらしいけど…。

媚薬・・・なの??
→休憩といいつつ誰も休憩なんてしない系ホテルの一室で、事に及ぶ前にハーブ吸入したところ、気分が悪くなり過換気になったためパートナーが救急要請。吸入して事に及ぶと、より気持ち良くなれるそうだけど、目の前の患者を見るととてもそうは思えなかった一例。

 と、思い出すだけでもなんとも悲しい末路をたどった方々。どういう宣伝文句に惹かれて薬物に走るのかわかりませんが、危険ドラッグの場合、常習的に摂取している人が自分の経験上はあまりいないような印象でした。そんないいものではないのかもしれません…。

著者プロフィール

薬師寺泰匡(薬師寺慈恵病院院長)●やくしじひろまさ氏。富山大学卒。岸和田徳洲会病院(岸徳)での初期研修を経て救急医療の面白さに目覚め、福岡徳洲会病院ERで年間1万件を超える救急車の対応に勤しむ。2013年から岸徳の救命救急センターで集中治療にも触れ、2020年から薬師寺慈恵病院に職場を移し、2021年1月からは院長として地方二次救急病院の発展を目指している。週1回岡山大学の高度救命救急センターに出入りし、ますます救急にのめり込んでいる。

連載の紹介

薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」
ER×ICUで1人盛り上がる救急医。愉快な仲間達と日本一明るい救命センターを目指して日々奮闘し、「ER診療の楽しさ」の伝承にも力を入れています。出会った患者のエピソードや面白かったエビデンス、ERを離れた救急医の日常までを綴ります。

この記事を読んでいる人におすすめ