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救急医がイラッとする瞬間

2015/03/26
薬師寺泰匡

 救急は様々な人がやってきます。ERの入り口が開いた瞬間から怒鳴り散らしていてやべーなと思う瞬間や、本人も付き添いもお揃いのキ◯ィちゃんサンダル(参照:「患者が医師の暴言を撮影…寺澤先生に聞くERのトラブル対応」)を履いていてやべーなと思う瞬間など、出会いの瞬間から身構える瞬間があります。

 また排泄物やカビの香りが立ち込めている方や、何日間お風呂に入っていないんだろうという方、なぜか全裸の方、よく見たら蛆虫がくっついている方など、本当に世界の広さを実感します。

 こちらに危害がない限り、一医療者としてしっかり対応しようと思うのですが、最初から怒ってますオーラ全開の患者さんや、権利意識がものすごく高い患者さん、こちらをいきなり見下して挑発的態度をとる患者さんなど、厄介な患者さんもたまにいらっしゃいます。そんな中、友人などからよく聞かれるのは

「腹立たないの?」

 ということです。幸いながら些細なことで患者さんに腹を立てたりしないのであまりトラブルにはならないのですが、イラッとした瞬間は確かにあるので、そんな心に引っ掛かった発言について書いてみようかと思います。今回は患者さんからの心ない一言集です。

(1)酔って転倒した男性からの一言
「こんなとこ来たぁないねん。なんでこんなとこ搬送すんねん!」

 まぁそりゃこんな世間様を賑わせた医療グループに搬送されたくなかったのかもしれないですが…。それならそもそも救急車呼ばなきゃよかったし、病院選べるくらい元気なら自分で受診すれば良かったのに…と思わなくもないです。しかし医療を受けるか受けないかの自由は患者にあるはずなので、一応尋ねます。

薬師寺「ここで僕らが診察開始させてもらってもいいですか?診察受けないという選択肢もありますけど…」

 こんなに優しい医師はいないんじゃないかと思いますが、なぜかさらに怒られました。
患者「お前には医師として患者をどうこうしたいという強い意思がないんか!?」

 そりゃスムーズに診察できれば何も苦労しないし、できたらそうしたいですよ…(汗)。
薬師寺「ぜひとも現状をなんとかしたいと思いますし、診療に携われたらうれしいので診察したいのですが、まずは許可をいただかないことには失礼になると思いまして…申し訳なかったです。今から診察させてもらってもいいですか?」
患者「いやじゃ!!」
薬師寺(イラッ…)

著者プロフィール

薬師寺泰匡(薬師寺慈恵病院)●やくしじひろまさ氏。富山大学卒。岸和田徳洲会病院(岸徳)での初期研修を経て救急医療の面白さに目覚め、福岡徳洲会病院ERで年間1万件を超える救急車の対応に勤しむ。2013年から岸徳の救命救急センターで集中治療にも触れ、2020年からいきなり管理職。地方二次救急病院で診療しながら、岡山大学の高度救命救急センターでますます救急にのめり込んでいる。

連載の紹介

薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」
ER×ICUで1人盛り上がる救急医。愉快な仲間達と日本一明るい救命センターを目指して日々奮闘し、「ER診療の楽しさ」の伝承にも力を入れています。出会った患者のエピソードや面白かったエビデンス、ERを離れた救急医の日常までを綴ります。

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