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レンブラントに愛を込めて。17世紀の左右取り違え

2015/03/18
薬師寺泰匡

 1600年代、オランダにレンブラント・ファン・レインという画家がいました。17世紀を代表する画家で、光と影の魔術師という異名を持ち、彼の絵には確かに明暗のコントラストを付けた光の巧みな描写が見てとれます。

 この画家の絵を初めて見たのは、大学に入学する前のこと。京都で開かれたレンブラント展に家族で行ったときでした。それはもう圧倒的な迫力で、天才の描いた絵というのはこんなにも生命力にあふれ、息が詰まるような緊張感を生むのかと、何百年経っても影響力を持つパワーに感銘を受けて帰って来たものです。やっぱり本物は本物なんだということを理屈抜きに体感した瞬間でした。

 さてそのレンブラント展には、医学に関係した作品が1点展示されていました。「ヨアン・デイマン博士の解剖学講義」です。1656年の作品で、同年に行われた公開解剖学講義の場面を描いています。火事でその大半が焼けてしまった悲運の作品ですが、肝心の遺体の部分だけは残ったという奇跡。解剖中の様子(頭部解剖に入ったところ)を臨場感あふれる描写で捉えていると同時に、その光の当て方から肉体の神秘を感じることができる作品です。

著者プロフィール

薬師寺泰匡(薬師寺慈恵病院)●やくしじひろまさ氏。富山大学卒。岸和田徳洲会病院(岸徳)での初期研修を経て救急医療の面白さに目覚め、福岡徳洲会病院ERで年間1万件を超える救急車の対応に勤しむ。2013年から岸徳の救命救急センターで集中治療にも触れ、2020年からいきなり管理職。地方二次救急病院で診療しながら、岡山大学の高度救命救急センターでますます救急にのめり込んでいる。

連載の紹介

薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」
ER×ICUで1人盛り上がる救急医。愉快な仲間達と日本一明るい救命センターを目指して日々奮闘し、「ER診療の楽しさ」の伝承にも力を入れています。出会った患者のエピソードや面白かったエビデンス、ERを離れた救急医の日常までを綴ります。

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