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意識障害!答えは脇の下にあった!!

2014/11/25
薬師寺泰匡

 ERには、意識障害の患者さんが連日搬送されてきます。いろいろな生活背景があり、いろいろな原因で意識障害となるので、頭をニュートラルにして診察する必要があります。交通事故で意識障害と聞いたら、普通は外傷でショックだとか、頭蓋内出血だとか、びまん性軸索損傷じゃないかとか考えますが、最近はハーブでラリってしまっているパターンも散見されます。

何で「ラリる」って言うのか知っていますか?
 ラリるラリるとはよく言いますが、意外とみなさんなぜラリると言うのかはご存じない様子です。酔っぱらったり、薬の影響を受けたりすると、ろれつが回らなくなって「らりるれろ」しか言えなくなるから「ラリ」ると言う説があります。しかし「俺は酔ってなんかいねぇよ!」というのを「ろれらろっれらんらりれぇろ!」なんて言う人は見たことありません。

 他に、めちゃくちゃになってしまう様子を指す言葉の「乱離骨灰(らりこっぱい)」を略して「乱離になる」と言うことがあったようで、この「ラリになる」が「ラリる」と使われるようになったという説も有力です。語源は諸説あるようですが、僕としてはこちらを推薦しておきます。

 毎度毎度、意識障害の人が薬やクスリでどうこうなっているわけではないのですが、意識障害の人を診察するときには、頭の片隅に必ず薬物中毒を置いておきたいものです。本日はそんな薬物中毒による意識障害のお話です。

80歳代女性の意識障害、その原因は…
 ある日の午後、意識障害の老婦人が救急搬送されてきました。80代の女性で、ほぼ寝たきりではあるものの、コミュニケーションはしっかりと取れている方です。来院4日前まで問題なく意思疎通できていたけれど、徐々に意識レベルが低下してきたために、一緒に暮らす娘が救急要請したとのことです。頭痛の訴えはなく、嘔吐や痙攣は認めません。明らかな四肢の麻痺もないようです。糖尿病と脂質異常症があり近医で定期処方を受けているとのことでした。

 来院時の意識はGCSで4-2-5。バイタルサインは脈拍134回/分、血圧141/100mmHg、体温37.5℃、呼吸回数20回/分、SpO2 94%(大気下)。頭部外傷はなく、瞳孔3mm/3mmで対光反射は両側正常。項部硬直や頸部リンパ節腫脹を認めず、呼吸音は清、心音整で心雑音も認めません。腹部平坦軟で蠕動音正常、圧痛反跳痛なし。四肢発赤腫脹なく、明らかな麻痺を認めずbabinski反射は両側陰性でした。

 血液検査ではWBC 8100 /μL、Hb 12.8 g/dL、Ht 35.4 %、Plt 23.3万 /μL、BUN 48.4 mg/dL、Cre 4.25 mg/dL、Glu 147 mg/dL、Na 138 mEq/L、K 3.9 mEq/L、Cl 99 mEq/Lでした。半年前の検査結果が残っていたので見てみると、BUN 5.9 mg/dL、Cre 0.44 mg/dL。腎機能が低下しているようです。

 尿検査で白血球が20~29 /HPF程度認められており、グラム染色でGPC(グラム陽性球菌)を多数認めました。胸部レントゲンに特記すべき事はなく、頭部のCTとMRIを撮影しましたが、器質的変化は指摘できませんでした。

著者プロフィール

薬師寺泰匡(薬師寺慈恵病院院長)●やくしじひろまさ氏。富山大学卒。岸和田徳洲会病院(岸徳)での初期研修を経て救急医療の面白さに目覚め、福岡徳洲会病院ERで年間1万件を超える救急車の対応に勤しむ。2013年から岸徳の救命救急センターで集中治療にも触れ、2020年から薬師寺慈恵病院に職場を移し、2021年1月からは院長として地方二次救急病院の発展を目指している。週1回岡山大学の高度救命救急センターに出入りし、ますます救急にのめり込んでいる。

連載の紹介

薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」
ER×ICUで1人盛り上がる救急医。愉快な仲間達と日本一明るい救命センターを目指して日々奮闘し、「ER診療の楽しさ」の伝承にも力を入れています。出会った患者のエピソードや面白かったエビデンス、ERを離れた救急医の日常までを綴ります。

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