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地域医療構想の「邪魔をしない」診療報酬改定に
厚生労働省保険局医療課長の森光敬子課長が登壇

厚生労働省保険局医療課長の森光敬子氏

 「全国一律の診療報酬地域医療構想を無理に推し進めれば、地域の実情に合った議論が進まなくなる危険性がある。診療報酬の要件が医療機関の機能転換を阻んでいるようなら見直すなど、地域医療構想の『邪魔をしない』改定にしたい」――。東京ビッグサイトで開催中の「クロスヘルスEXPO 2019」(主催:日経BP、会期:10月9~11日)に厚生労働省保険局医療課長の森光敬子氏が登壇し、地域医療構想と診療報酬の関係について自身の考えを明らかにした。

 森光氏が登壇したのは、10月10日の「日経ヘルスケア」創刊30周年記念特別講演「2020年度診療報酬改定の方向性」。2020年度改定に向けたスケジュールと、これまでの中央社会保険医療協議会中医協)での議論状況を紹介した。

 2020年度改定に向けた検討は、4~8月を第1ラウンド、9~12月を第2ラウンドと区切って進められている。第1ラウンドでは、従来の「入院」「外来」「在宅」といった枠組みにとらわれず、患者の疾病構造や受療行動を踏まえた年代別の課題や、昨今の医療と関連性の高いテーマに関する課題を整理した。第1ラウンドの議論や中医協の「診療報酬改定結果検証部会」「入院医療等の調査・評価分科会」などの報告を踏まえ、第2ラウンドでは「入院」「外来」「在宅」などで何を重点的に評価するかを議論する。

 森光氏は第1ラウンドで議論したテーマのうち、(1)かかりつけ医機能、(2)働き方改革に資する取り組み、(3)遠隔医療、(4)地域の状況を踏まえた入院医療のあり方――について、中医協総会で出た主な意見を紹介しつつ、自身の考えを明らかにした。

 かかりつけ医機能に対する評価としては、2018年度改定で機能強化加算(初診料の加算)が新設された。専門医療機関の受診の必要性の判断などを含む診療体制を評価した加算であり、要件を満たして届け出た医療機関では患者の疾患によらず算定できる。同加算に対しては、支払い側委員から「対象患者を限定すべき」といった声も上がっており、「第2ラウンドでも議論になるだろう」と森光氏は見通しを語った。

 働き方改革に資する取り組みでは、既にある診療報酬項目での対応例として、(1)医師事務作業補助体制加算の拡充、(2)専従要件の緩和――を挙げた。専従要件の緩和については、「単に専従を専任に変えればいいという話ではない。各報酬項目のどの要件がサービスの質を担保しているのかを考え、緩和が可能かを個別に検討する必要がある」と森光氏は説明。現在、厚労省で検討対象となる報酬項目の洗い出しを進めているという。

 遠隔医療のうちオンライン診療に関しては、第1ラウンドで「利便性のみに着目した議論には慎重であるべき」「オンライン診療が対面と同等であるかどうかのエビデンスが必要」「安全性に支障がない範囲で、緩和できる要件は緩和する方向で検討が必要では」――など様々な意見が出た。森光氏は、「2018年度改定でオンライン診療の基本的な考え方が示されており、それに沿った形でエビデンスを確認しながら議論する」と話した。2018年度改定では「かなり厳しい要件が設定された」(森光氏)との認識を示し、要件のあり方についても第2ラウンドで議論する考えだ。

 地域の状況を踏まえた入院医療のあり方では、地域医療構想への診療報酬での対応について言及した。第1ラウンドでは、「地域医療構想に寄り添う範囲での対応に留める必要がある」という診療側と、「地域医療構想に寄り添い、後押しする観点で議論すべき」という支払い側の意見がぶつかった。森光氏は「地域医療構想は地域の実情に合った医療提供体制を地域ごとに考えるもの。全国一律の診療報酬でなたを振るえば、地域の実情に合った議論が進まなくなる危険性がある」との見解を示した。一方で、診療報酬の要件が医療機関の機能転換を阻んでいるなら見直す必要があるとの考えを示し、「地域医療構想の『邪魔をしない』対応について議論したい」と話した。

連載の紹介

「クロスヘルスEXPO 2019」リポート
医療・介護関係者と周辺産業の交流によるヘルスケア産業の革新を目的に、日経BPが開催する新イベント「クロスヘルスEXPO 2019」。ヘルスケア分野の行政動向や、様々な製品・サービスに関する最新情報を得られる同EXPOの注目セッションをリポートします。

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