図1 寝たきりの原因疾患

骨粗鬆症は、多くの人々に「最近、何となく耳にすることが多くなってきた疾患」と認識されている。しかし、実際に「どんな病気ですか」と尋ねても、なかなか正確には答えられない。
現在、骨粗鬆症は、「骨強度の低下を特徴とし、骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患(NIHコンセンサス)」と定義されているが、内実は分かりにくい。むしろ、その重要な合併症である大腿部頸部骨折、椎体骨折、橈骨遠位端骨折などが直感的あるいは観念的に結び付きやすい(図1)。
広く一般に「骨粗鬆症=骨折、骨折=寝たきり」という、単純な図式で本疾患を理解されており、不安感のみが先行している場合が少なくない。この不安感が、時間の経過、あるいは医師の根気強い説明によって解消されると、一方で受診の中断が見られるようになり、医家泣かせの疾患でもある。
国内患者数は約1200万人、うち加療は2割にとどまる
現在、日本は世界一の長寿国であり、平均寿命は飛躍的に延びた。それとともに、女性は閉経後、女性ホルモンの欠乏した期間を30年程度経験することになった。生活パターンは欧米化したが、日本人のカルシウム摂取量は低値のままであり、運動の機会は減少している。
骨粗鬆症はこのような社会変化に伴い患者が増大した疾病であり、遺伝的素因に加えて内分泌環境の変化、カルシウム摂取不足、運動不足など、多因子が加味されて徐々に進行する。
現在、日本には骨粗鬆症患者はどのぐらいいるのだろうか。