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第7回 58歳女性。腰背部、頸部の痛み
難治化した慢性痛の影に疾病利得

2019/05/30
青野 比奈子、牛田 享宏(愛知医科大学病院痛みセンター)
難治化した慢性痛の影に疾病利得の画像

 痛みは患者が感じている主観的な体験で、周りに理解してもらいにくく、精神的にも苦しいものである。その苦しみは、痛みを抱えている患者だけでなく、最もよき理解者になり得る家族などにとっても同様だ。身内が苦しんでいる状態は苦痛を引き起こし、その状態を放置するのは難しい。

 当院にも、患者の家族が「何とかしてあげたい」と思い、一緒に来院するケースは多い。この家族の愛情や協力は痛みの治療においてプラスに作用するものだが、その反面、ときにはそれが患者の「利得」となり、治療の妨げになることがある。

著者プロフィール

牛田享宏(愛知医科大学学際的痛みセンター教授)●うしだ たかひろ氏。1991年高知医科大学卒。神経障害性疼痛モデルを学ぶため1995年テキサス大学医学部客員研究員、2004年ノースウエスタン大学 客員研究員、同年高知大学整形外科講師を経て、2007年から現職。慢性の痛みに対する集学的な治療・研究に取り組み、2012年から愛知医科大学医学部運動療育センター長を併任。厚生労働省の「慢性の痛み診療・教育の基盤となるシステム構築に関する研究」の研究代表者。

連載の紹介

「こじらせ疼痛」にどう向き合う
慢性的な疼痛は、身体的な問題、精神心理的問題、社会問題が複雑に合わさって生じるものです。そのため、慢性疼痛を抱えた患者の診療には麻酔科、精神科、整形外科など様々な診療科の知見を組み合わせた集学的・統合的な治療が求められます。本連載では、疼痛をこじらせてしまった症例を取り上げ、症状の経過を振り返りながら、日常診療で見落としがちな特徴的な症状・病態・経過、薬剤処方における注意点、患者への接し方などについて解説いたします。

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