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バリアトリック手術で糖尿病を治療(その1)
米国で年間20万人が受ける肥満手術

2011/01/11
柳澤貴裕

 肥満治療を意味するバリアトリックbariatric)とは、ギリシャ語のbaros(体重)とiatrike(治療)が合わさって生まれた言葉といわれています(pediatricと同様)。バリアトリック手術とは、胃や小腸に外科的処置を施すことで摂食量を制限したり栄養吸収を抑える手術を指します。この手術について、米国における現状を数回のシリーズで紹介します。

内分泌科を訪れる肥満者
 肥満に特効薬はなく、ダイエットで一時的に体重を落とせても、その状態を持続することはとても困難です。庶民的なレストランの多くがボリュームを売りにする米国では、国民の3人に2人が過体重(BMI≧27)、3人に1人は肥満(BMI≧30)という統計があります。まさに肥満大国です。そんな状況に対し、米国代謝・肥満外科学会The American Society for Metabolic and Bariatric Surgery)によると、米国でバリアトリック手術を受ける患者は年間20万人以上にのぼると推定されています。

 米国では、肥満の人が代謝に何か問題があるのではないかと思い、内分泌科を訪れるというケースがよくあります。しかし、ほとんどは代謝の問題ではなく、単にエネルギー消費に対するカロリー摂取量の過多が肥満の原因です。しかも、肥満と糖尿病が合併すると、血糖降下薬の服用によって体重が増えることが多い。つまり、血糖コントロールを良くしようとするほど体重が増えてしまうというジレンマがあります。

著者プロフィール

柳澤貴裕(マウントサイナイ医科大学准教授、内分泌科研修プログラムディレクター)●やなぎさわ たかひろ氏。1994年ブラウン大医学部卒。マサチューセッツ州立大での内分泌フェローを経て2001年現職。09年から東京女子医大招待教授と米国日本人医師会副会長。

連載の紹介

アメリカの肥満と糖尿病
バリアトリック手術にインスリンポンプの使い方…。肥満大国である米国の肥満症および2型糖尿病の診療事情は日本とはかなり異なります。日米の差異を踏まえつつ、米国における糖尿病診療の現状を米国内分泌科指導医の視点から紹介します。

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