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【第16回】タクロリムス外用薬の処方時の注意点
タクロリムス外用薬で注意すべき副作用って?

2017/05/09
常深祐一郎(東京女子医科大学皮膚科准教授)

 前回は、タクロリムス外用薬のメリットを中心に解説しましたが、覚えておかなければならない注意点もあります。今回は、タクロリムス外用薬の注意点をまとめます。

 なお、後で述べる、妊婦・授乳婦や小児に使用する場合の注意点は、タクロリムス外用薬に限らず、どの外用薬でも必ず気にすべき内容といえます。


これだけはおさえよう
◆タクロリムス外用薬は、アトピー性皮膚炎の標準治療薬である
◆局所副作用はほとんどない
◆ステロイド外用薬で難治もしくは不安定な病変や、局所副作用の起こりやすい顔や頸部には、特に使用する価値が非常に高い
◆分子量が大きいため、皮膚が薄く吸収が良い部位ほど効果が高い
◆病変部からは吸収されるが健常皮膚からは吸収されない
◆効果発現は比較的ゆっくりである
◆使用開始初期に刺激感があるため、患者への説明が必要
◆プロアクティブ療法に適している
 ※本連載の第14~17回でこれらを解説します

タクロリムス外用薬の局所副作用について

 これまで、タクロリムス外用薬には「局所副作用はほとんどない」と解説してきました。確かにステロイド外用薬と比べると局所副作用は圧倒的に少なく、皮膚萎縮や紫斑、血管拡張、多毛などは起こらず、安心感があります。ただ、全く局所副作用がないわけでもありませんので、ここでまとめておきましょう。

1)感染症
 免疫抑制薬ですから、感染症が多少増えます。毛嚢炎やざ瘡(にきび)はやや多い印象があります。ステロイド外用薬よりも増えるということではなく、保湿剤だけを使用した場合と比較してやや多いというレベルです。
 口唇ヘルペスなどが増えるという話を聞きますが、私の経験では特に増加するといった印象はなく、臨床的に困ったこともありません。
 むしろ、アトピー性皮膚炎の皮疹がコントロール不良の状態で推移しているうちに、細菌感染症である膿痂疹や、単純ヘルペスウィルスによる感染症であるカポジ水痘様発疹症にかかる頻度の方が高いと感じています。これらは、かかると大変な思いをします。
 ですから、ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬をしっかりと用いて、アトピー性皮膚炎の皮疹を十分にコントロールした方が、結果的に感染症の頻度や重症度を下げられるのではないかと私は考えています。

2)酒さ様皮膚炎
 多くの患者に使用されているうちに、稀ながらタクロリムス外用薬による酒さ様皮膚炎が起こることが分かってきました。タクロリムス外用薬を使用中に、紅斑や丘疹が強くなった際には、酒さ様皮膚炎を疑う必要があります。
 ただし、紅斑や丘疹が悪化する場合の多くは、タクロリムス外用薬の使用が不十分で、原病であるアトピー性皮膚炎のコントロールが不良になっているのが原因です。まずはしっかりと外用薬を使用できているかを確認しましょう。その上で、きちんと塗布しているのに悪化しているようであれば、タクロリムスによる酒さ様皮膚炎を疑います。

著者プロフィール

常深祐一郎(東京女子医科大学皮膚科准教授)●つねみゆういちろう氏。1999年東京大学卒。東京大学病院と国立国際医療センター病院皮膚科で研修後、東京大学皮膚科医員、助教を経て、2014年から現職。医学博士。

連載の紹介

皮膚科のくすり虎の巻
外用薬をはじめとする皮膚科の薬の使い方について解説します。薬剤ごとに、ちょっとした使い方のコツと注意点を紹介。教科書的なことはなるべく省略し、私が臨床の場でマスターした勘所をしっかりお伝えしていきます。

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