日経メディカルのロゴ画像

【連載第4回】(6/12 訂正)
救急外来で腹痛を診断するコツ

2007/06/11

1.救急で腹痛を診た場合の対処法
 救急外来は疾患としてはバリエーションに富むが、主訴としては、めまい、胸痛、腹痛、意識喪失、発熱などが多い。救急外来は正確な診断の方が重要であり、いかなる考えで診断を進めたらいいか、私の考えを紹介する。

(1)問診
 腹痛でまず第一なのは、問診である。これは他の疾患も同様である。問診では、腹痛を訴える患者では可能な限り聞くとそれだけ診断につながる情報が得られる。
・生食の摂取の有無(細菌性腸炎、アニサキス、ノロウイルス感染による腹痛などが確認できる)
・最近の排便の状況(下痢か、便秘か、それとも正常なのか)
・便の性状(タール便で黒かったのか、あるいは鮮血便で赤かったのか)
・最近の食欲と体重減少の有無
・ストレスの有無
・飲酒歴
・痛みの発症時期(いつから)と部位(場所はどこなのか:心窩部痛、右季肋部痛、背部痛、下腹部痛、側背部痛など)が重要。また性状(疝痛か鈍痛か、持続性か間歇痛か)、食事との関係(食後か食前か)も聞く
・発熱の有無
・随伴症状(風邪などの症状としての腹痛もある)の有無
・抗菌薬などの服用の有無(整形外科でNSAIDsなどを処方されていることも多い)
・初めてなのか、過去に同じ症状があったか
・もともと胃腸系が弱いのかどうか

(2)腹部診察
 腹痛を訴えてきたら、必ず触診することが非常に重要である。一度、例えば、「rebound tenderness」を体験すれば、次に腹膜炎の患者が来たときに診断がしやすいので、研修医のうちに体験しておくことが重要。
・打診→tympanicかどうか(ガスの充満度)
・触診→soft か hardか
・tenderness か rebound tendernessか(つまり押したときより押して離した方がひびくのは、腹膜刺激症状のサインであり、見逃せない)
・背部のknock painやCVA tenderness(腎盂腎炎の場合)の有無
・聴診→腸音の確認(腸が動いているのか、止まっているか)

著者プロフィール

東京都老人医療センターは、1972年に開設された高齢者医療の専門病院。カンファレンスは研修医向けだが、そのほかの医師にも、専門外領域の知識の再確認・ブラッシュアップのために参加を呼びかけている。

連載の紹介

【臨床講座】主訴から学ぶ高齢者診療の要点
東京都老人医療センターの研修医向けカンファレンス「研修医クルズス」の2007年4月からのテーマは、「主訴から学ぶ高齢者診療の要点」。本連載では、カンファレンスの内容を再録します。

この記事を読んでいる人におすすめ