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9月27日に開催された「勤務医110番」。勤務医の労働組合である全国医師ユニオンが、電話で様々な労働相談を受け付けた。

 「解雇関係の相談が来るとは思わなかった」――。9月27日に開催された「勤務医110番」。主催者である全国医師ユニオン代表、植山直人氏はこうもらしました。

 このイベントは、勤務医の労働組合である同ユニオンが、電話で様々な労働相談を受けるというもの。東京・秋葉原の組合事務所には、医師やその家族を中心に、合計29件の電話相談が寄せられたそうです。内容は「労働時間」が12件、「当直問題」が7件、「残業代」が6件。(重複計上)。これまで当相談所に寄せられた相談と似た傾向がうかがえます。

 その中に、「解雇」に関する相談が1件あったとのこと。同ユニオンによると、ある公的病院で、2人いた小児科医が1人になるのをきっかけに、病院側が小児科の閉鎖を決め、残ったもう1人の医師に退職を勧めたというケース。植山氏は、「今回のイベントの前にも、『電子カルテの導入に反対するならやめてもらう』と事務長に言われた勤務医からの相談があった」と話しています。

 今年1月末から当相談所で労働相談を実施してきた私も、「退職勧奨を受けた」との相談を受けた際、冒頭の植山氏と同じ感想を持ちました。医師不足が原因で存続が危ぶまれる病院があるこのご時世に、医師を辞めさせようとする病院があるとは、半信半疑でした。

 しかし今回、全国医師ユニオンに同様の相談が複数寄せられたことを知り、勤務医も解雇を言い渡されることは現実にあるのだと、認識を新たにした次第です。

落ち度なしでも解雇は可能
 当相談所所長の私が、総選挙の取材のため、しばらく“開店休業”だった「勤務医労働相談所」ですが、ここで営業を再開させていただきます。その最初のテーマとして、「解雇」を取り上げたいと思います。

 まず知っておいていただきたいのは、「クビだ!」と「辞めていただけませんか」の違いです。

 前者は「解雇通告」で、後者は「退職勧奨」です。解雇は、労働者の意思を問わない経営者側の一方的な行為ですが、退職勧奨の場合、それに応じるかどうかはあくまで労働者の意思次第です。退職するつもりがないのであれば、きっぱりと拒絶すればいいわけです。退職の意思表示は口頭でも成立しますから、あいまいな返事はしないことが肝心です。

著者プロフィール

井上俊明(日経BP医療局編集委員)●いのうえ としあき。1989年日経BP入社。医療保険制度や医業税制、病院倒産など、経済・経営分野の取材に取り組んできた。2007年11月に社会保険労務士として登録。

連載の紹介

勤務医労働相談所
医療分野で約20年の取材歴を持ち、社会保険労務士の資格も持つ著者が、その知識とネットワークを活かして、先生方からいただいた労働関連の相談にお答えします。勤務医の先生方からの相談も募集中。

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