日経メディカルのロゴ画像

「宿直は時間外勤務」判決に反響続々
救急に消極的な公的病院や診療所の責任問う声も

 4月24日付で「勤務医労働相談所」に掲載した「『名ばかり宿直』に司法のメス 時間外労働と認定、割増賃金支払い命じる」には、勤務医の先生方はもちろん、開業している先生やコメディカルの方からも多くのコメントをいただきました。どうもありがとうございます。

 いただいたコメントの一つひとつから、勤務医の当直勤務の現状がどんなにひどいものか、そして先生方がいかに切実にその改善を求めているかが伝わってきました。今回の「勤務医労働相談所」では、こうした現場の先生方の声を紹介したいと思います。

 なお、県立奈良病院の産科医2人が、当直勤務の時間外割増賃金など合計約9200万円の支払いを求めていた裁判は、敗訴した奈良県が控訴したため、最終決着はしばらく先になりました。

「当然」「溜飲の下がる思い」
 コメントは、(1)判決に対する評価、(2)自分の労働条件の問題点を訴える声、(3)過重労働の責任についての意見、の3つに大きく分けることができます。

 まず、(1)では、判決を強く支持する声が目立ちました。
●「判決は当然といえる。これを機に、今後当直勤務を取り巻く環境が改善されることを期待する」(栃木・内科医)
●「経営者にとって都合の良い『当直』と『夜勤』の使い分けにメスが入り、溜飲の下がる思い」(福岡・内科医)
などというものです。コメディカルや異業種の方からのコメントを含め、判決に批判的な意見はありませんでした。

 ただ、当直の医師だけでは対応できない場合に備え、自宅で待機し呼び出しがあれば病院に駆けつける「宅直」について、裁判所が病院側の指揮・命令下にあったと認めず、割増賃金の請求を退けたことには批判の声もありました。
●「宅直を医師のボランティアと位置づけたのには納得がいかない。三権分立である以上、行政の行為を後から追認するのはやめて、裁判所は現状をきちんと見て判断してほしい」(愛媛・内科医)

放射線技師も過重労働に直面
 (2)では、やはり、救急医療を担う病院に勤める医師・コメディカルからの訴えが目立ちました。
 ●「時間外手当が、年齢、卒年、基本給に関係なく、一律に時給2500円と定められている。もちろん、当直勤務をしても割り増しはない。医師になって20年になるのに、オンコールが月に8~10回回ってきて、精神的負担が非常に大きい」(関西・内科医)
 ●「公立病院の救命救急センターに勤務していた当時、月5、6回の当直と、月1、2回の日直をしていた。しかし、日当直手当という項目はなく、超過勤務として届けるよう指示されていた。月に16万円の上限もあった」(大阪・救急医)
 ●「3次救急の当院では、放射線技師も当直している。MRIの検査やカテーテル治療などに追われ、2、3時間横になれたらいい方。看護師は3交代のシフト勤務だが、放射線技師にはそれがなく、医師と同じ過重労働の問題に直面している」(兵庫・診療放射線技師)

著者プロフィール

井上俊明(日経BP医療局編集委員)●いのうえ としあき。1989年日経BP入社。医療保険制度や医業税制、病院倒産など、経済・経営分野の取材に取り組んできた。2007年11月に社会保険労務士として登録。

連載の紹介

勤務医労働相談所
医療分野で約20年の取材歴を持ち、社会保険労務士の資格も持つ著者が、その知識とネットワークを活かして、先生方からいただいた労働関連の相談にお答えします。勤務医の先生方からの相談も募集中。

この記事を読んでいる人におすすめ