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二階微分して、明かりをつけて

2020/10/16
テクノ アサヤマ(緩和ケア医)

 私が暗闇を知ったのは、研修医二年目の十月だった。

 次の日から始まる地域医療研修のために地方の病院まで車で移動していたとき、田んぼの真ん中で迷子になった。ときは午後六時。十月の夕方はすぐに夜に変わってしまう。さっきまでうっすらと見えていた家や木の影がどんどん闇に飲まれる。その時乗っていた車にはカーナビが無く、地図を見ようにも場所がよくわからないし、道を聞けるようなコンビニもない。だだっ広い田んぼを照らす光は私のワーゲンのヘッドライトのみ。それまで街灯のない道なんか歩いたことがなかった私は本物の暗闇というものをその時初めて知った。この真っ黒な宇宙で私は一人で迷子になってしまった!果てしない孤独をつきつけられて途方に暮れた。

著者プロフィール

緩和ケア医。「生と死を見つめる」をライフワークに、僻地に緩和ケアを導入するためIターン。音楽と読書が欠かせない生活。愛車はワーゲン。ペンネームの由来は、Daft Punkの名曲「TECHNOLOGIC」。Twitterは@technoasym

連載の紹介

テクノ アサヤマの「今日がいちばんいい日」
緩和ケア医・テクノアサヤマが僻地にやってきた!僻地医療、それは日本の中の異文化交流。違う人間である「わたし」と「あなた」はどうやって生きていけばいい?悩めるあなたとわたしのストーリー。

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