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Too young to die

2020/07/17
テクノ アサヤマ(緩和ケア医)

「あたし、死ぬのが怖いの」

 私がホスピスに勤め始めて、初めて主治医として接した患者の言葉。

「あたし、死にたくないのよ」

 彼女——ハルさん(仮)は大正生まれの九十六歳だった。認知症と、押しては返すせん妄の波の間から押し出されたように訴える彼女に私は何も言えなかった。死への恐怖は何歳になっても逃れられないのか。九十を越えたりしたら、もっと穏やかな気持ちになって死にも動じないようになるのかと思っていた。でも、そうではないらしい。驚きと納得と、死への恐怖からは老いをもってしても逃れられないという絶望が私を満たした。

著者プロフィール

緩和ケア医。「生と死を見つめる」をライフワークに、僻地に緩和ケアを導入するためIターン。音楽と読書が欠かせない生活。愛車はワーゲン。ペンネームの由来は、Daft Punkの名曲「TECHNOLOGIC」。Twitterは@technoasym

連載の紹介

テクノ アサヤマの「今日がいちばんいい日」
緩和ケア医・テクノアサヤマが僻地にやってきた!僻地医療、それは日本の中の異文化交流。違う人間である「わたし」と「あなた」はどうやって生きていけばいい?悩めるあなたとわたしのストーリー。

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