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第2回《診断編》 
麻疹をカタル期に拾い上げるには

2008/03/27

 第1回で紹介した麻疹の典型的な臨床経過(こちらを見ると、カタル期の患者が最も感染力が強いにもかかわらず、症状は非特異的で診断が難しいことが分かる。

 実際、上気道炎や気管支炎などの診断で抗菌薬を処方され、その後出現した発疹が薬疹と誤診された例も多い。病院でスティーブンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson Syndrome:SJS)と診断され、救命救急センターに搬送された麻疹患者の例もある。

まずは患者接触歴の確認から
 カタル期に麻疹を拾い上げるには、常に麻疹の可能性を頭の片隅に置いておくことが大切である。そして、症状が出現する10~12日前に、麻疹患者との接触があったかどうかを必ず尋ねてほしい。

 明らかに麻疹と診断された人との接触歴がなくても、麻疹の流行時期に卒業式や入学式、コンサート会場など、大勢の人が集まる場所へ行ったというエピソードがあれば、麻疹の疑いを強められる。2008年に報告された症例では、成人式の会場で感染したと見られるケースがあった。

 麻疹患者との接触歴を聞く際に、麻疹の罹患歴や予防接種歴も忘れずに確認したい。もし罹患歴、接種歴ともになければ、麻疹をより強く意識する必要があるだろう。

 また、予防接種歴があっても、まれに免疫を獲得できなかったり(primary vaccine failure)、一度獲得した免疫が年余を経て低下する(secondary vaccine failure)ことがあるため、必ずしも麻疹を否定できないことも念頭に置いておきたい。

コプリック斑は期間限定の大ヒント
 麻疹特有のコプリック斑は診断的価値が高いので、カタル期の症状を診たら必ず口腔内をチェックしてほしい。

見慣れた咽頭周辺ではなく、奥歯の対面の粘膜に注目し、白い小斑点を発見したら、翌日か翌々日には発疹が出現してくる可能性が高い。コプリック斑は発疹出現後2日ほどで消えてしまう「期間限定の大ヒント」なので、ぜひとも見逃さないようにしてほしい(コプリック斑については、第1回の写真1を参照)。

著者プロフィール

多屋馨子(国立感染症研究所感染症情報センター第三室〔予防接種室〕室長)●たや けいこ氏。1986年高知医科大学(現高知大学)卒。2001年国立感染症研究所感染症情報センター主任研究官。

連載の紹介

【臨床講座】麻疹の流行に備えよ
「はしかは子供の病気」というのは、もはや過去の常識。非常に強い感染力を持ち、時に健康な人を死に至らしめる麻疹に、日常診療でどう立ち向かえばいいのか。診断・治療・予防に役立つ基礎知識をまとめました。

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