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「医師はカネでしか動かない」になぜ怒らない?

2022/05/16
谷口 恭(太融寺町谷口医院)

 認可されたものの一向に普及が進まないリフィル処方に対して、日経新聞は2022年5月2日、「リフィル処方の一律拒否を認めるな」という社説を掲載した。その中に「リフィル処方を拒む医療機関は収入源である再診患者が減るのがいやなのだろう」という表現がある。

 その翌日の5月3日、日経新聞は医療のデジタル化が進まない現状を批判する「医療のデジタル化、診療報酬頼み限界」という記事を載せた。この書き出しは「(医師は)お金をつければ動いてくれるだろう。医療機関の行動をある方向に誘導したいときに厚生労働省が多用するのが、診療報酬の引き上げである」となっている。

 記事の主旨とは少し離れるが、根底にあるのが、医師のモチベーションを上げるには「カネ」しかないだろうという新聞社の考えだ。特に前者の「いやなのだろう」という表現には、カネでしか動かない医師を蔑んでいるようなニュアンスがあるように僕には感じられる。

 だから、「日本を代表するメディアがこのような医師を侮辱するような表現を使うことには看過できない」と抗議すべきだと瞬時に思ったのだが、抗議をするならその前に、日本の大手メディアにそこまで言わせてしまう医師の実態を振り返っておく必要があるだろう。

著者プロフィール

たにぐち やすし氏●1991年関西学院大学社会学部卒。商社勤務を経て、2002年大阪市立大学医学部卒。研修医終了後、タイのエイズ施設でのボランティアを経て大阪市立大学医学部総合診療センター所属となり、現在も同大非常勤講師。2007年に大阪・梅田に開業。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。労働衛生コンサルタント。

連載の紹介

谷口恭の「梅田のGPがどうしても伝えたいこと」
患者さんに最も近い立場で医療を行いたい……。それを実現するため医師6年目に資金300万円で開業した谷口氏。「どのような人でも、どのような症状でも受け入れる」をポリシーに過去11年で3万人以上の初診患者を診察した経験を基に、開業医のやりがいや苦労、開業医に求められるミッションを若手医師向けに語ります。

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