日経メディカルのロゴ画像

クリニック放火事件から我々が考えるべきこと

 このコラムが公開されるのは新年を迎えてからだが、原稿を執筆しているのはあの忌まわしい事件が起こってから数日しかたっていない休診日。2021年12月17日午前10時過ぎに起こった大阪市のクリニック放火事件は、原稿執筆時点では院長を含むスタッフや患者25人が死亡、放火した後も現場にとどまっていた61歳の犯人の男は意識不明と報道されている。

 この事件を受けて、医師が利用する掲示板では小さなビルでクリニックを開業するリスクについて語られ、一般の人たちが利用するSNSでは犯人への憎しみや精神障がい者の危険性について無責任な意見が述べられている。今回はこの事件から我々医療者が考えねばならないことについて私見を述べてみたい。

 まずは事件を振り返ってみよう。事件の現場は大阪市北区の繁華街に位置したビルの4階。ちなみに、当院も「大阪市北区の繁華街に位置したビルの4階」にある。そのため、事件直後には当院のことかと考えた人も複数いたようだ。僕がこの事件を知ったのは、ニュースを見て「娘が働く当院のことかもしれない」と思い慌てた職員の母親からの電話だった。

著者プロフィール

たにぐち やすし氏●1991年関西学院大学社会学部卒。商社勤務を経て、2002年大阪市立大学医学部卒。研修医終了後、タイのエイズ施設でのボランティアを経て大阪市立大学医学部総合診療センター所属となり、現在も同大非常勤講師。2007年に大阪・梅田に開業。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。労働衛生コンサルタント。

連載の紹介

谷口恭の「梅田のGPがどうしても伝えたいこと」
患者さんに最も近い立場で医療を行いたい……。それを実現するため医師6年目に資金300万円で開業した谷口氏。「どのような人でも、どのような症状でも受け入れる」をポリシーに過去11年で3万人以上の初診患者を診察した経験を基に、開業医のやりがいや苦労、開業医に求められるミッションを若手医師向けに語ります。

この記事を読んでいる人におすすめ