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外国人医療問題の9割を解決する方法

 過去にも述べたように、この連載を持たせてもらうきっかけとなったのが、僕が中心となって立ち上げた「関西の外国人医療を考える会」だ。他の地域のことはよく分からないが、関西、特に大阪府、さらに言えば大阪市では「英語を話しているのに診察を拒否された」という外国人からの苦情がものすごく多い。日本以外の世界のどこに、英語を話しているのに診察拒否される国や地域があるというのだろう。

 他方、外国人医療については社会の関心が高く、2010年半ばからは「インバウンド」が合言葉のようになり、多くの場所でこの問題や課題が俎上(そじょう)に載せられるようになった。そして、さまざまな問題点が指摘された。例えば、(英語以外の)多言語、支払い能力、文化・宗教の違い、訴訟リスク、不法就労、難民問題などは頻繁に議題に挙がり、中には「高価な抗がん薬やC型肝炎の直接作用型抗ウイルス薬(DAA)を求めて短期滞在で日本の保険証を入手する外国人」といったような問題も話題となった。

 こうしてさまざまな問題を列記すれば、確かに外国人医療問題は複雑で奥が深そうに見える。多言語だけを取り上げてみても、例えば新宿では100を超える言語が飛び交っているという話を聞いたことがある。各医療機関が100もの言語に対応できるはずがない。このような話を聞いた時点で、「日本語ができない人はお断り」と考えてしまう医療者がいるのかもしれない。

 だが、そうではないのだ。細かい点に目を向ければ外国人医療に伴う問題の複雑さや困難さはいくらでも指摘できるが、この問題を全体から眺めてみると、つまり外国人医療問題に遭遇した当事者からの苦情や意見をとりまとめて考え直してみると、浮き上がってくる最大の問題は結局のところ「英語でのコミュニケーション」なのだ。

著者プロフィール

たにぐち やすし氏●1991年関西学院大学社会学部卒。商社勤務を経て、2002年大阪市立大学医学部卒。研修医終了後、タイのエイズ施設でのボランティアを経て大阪市立大学医学部総合診療センター所属となり、現在も同大非常勤講師。2007年に大阪・梅田に開業。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。労働衛生コンサルタント。

連載の紹介

谷口恭の「梅田のGPがどうしても伝えたいこと」
患者さんに最も近い立場で医療を行いたい……。それを実現するため医師6年目に資金300万円で開業した谷口氏。「どのような人でも、どのような症状でも受け入れる」をポリシーに過去11年で3万人以上の初診患者を診察した経験を基に、開業医のやりがいや苦労、開業医に求められるミッションを若手医師向けに語ります。

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