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コロナ、ブレイクスルー感染は重症化するか否か

 2021年8月初旬、当院で最初の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のブレイクスルー感染を経験した。感冒症状はごく軽度だという40歳代のこの男性、ファイザー社/Biontech社製のmRNA型ワクチンの2回接種を完了して1カ月以上が経過している。味覚・嗅覚障害もなく、酸素飽和度は99%、発熱も咳もなく、ただ単に軽度の咽頭痛があるだけだという。本人だけでなく、僕自身もCOVID-19ではないだろうと推測した。だが、職場からPCR検査を受けるように言われていることもあり念のために実施した。結果は陽性……。

 こんなごく軽度の感冒症状なら治療はもちろん不要だし、本当に隔離が必要なのかさえ疑問に思えてくる。ブレイクスルー感染でも体内で検出されるウイルス量はワクチン未接種者と変わらないことが指摘されており、他人に感染させる確率も未接種者と変わらないのであれば、やはり隔離は不可欠ということになるのだろうが、ワクチン普及率がもっと向上すればその必要もなくなるのではないか、と感じた。

 8月10日のNew York Timesは「州ごとのブレイクスルー感染の入院と死亡に関するデータ (See the Data on Breakthrough Covid Hospitalizations and Deaths by State )」という記事を発表し、全米各地でワクチンが功を奏し、ブレイクスルー感染による入院と死亡は全体の感染者からみると極めて少ないことを数字を挙げて実証している。記事では、ワクチンを完了していなければワクチン完了者に比べて、感染率が5倍以上に、死亡率は8倍以上になると報じている。

 米国CDCのサイトに掲載されている「ブレイクスルー感染の症例調査と報告(COVID-19 Vaccine Breakthrough Case Investigation and Reporting)」には、「ワクチンは重症化を防ぎ、未接種者に比較して入院や死亡のリスクを大きく軽減させる」と書かれている。

 やはり、ワクチン接種で重症化を予防できるのは間違いなさそうだ、と考えていたとき、ある数字が目に留まった。

著者プロフィール

たにぐち やすし氏●1991年関西学院大学社会学部卒。商社勤務を経て、2002年大阪市立大学医学部卒。研修医終了後、タイのエイズ施設でのボランティアを経て大阪市立大学医学部総合診療センター所属となり、現在も同大非常勤講師。2007年に大阪・梅田に開業。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。労働衛生コンサルタント。

連載の紹介

谷口恭の「梅田のGPがどうしても伝えたいこと」
患者さんに最も近い立場で医療を行いたい……。それを実現するため医師6年目に資金300万円で開業した谷口氏。「どのような人でも、どのような症状でも受け入れる」をポリシーに過去11年で3万人以上の初診患者を診察した経験を基に、開業医のやりがいや苦労、開業医に求められるミッションを若手医師向けに語ります。

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