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当院がオンライン診療に踏み切った理由

 過去のコラム(遠隔診療、電話で診るか、オンラインで診るか)で述べたように、僕は元々ビデオを使ったオンライン診療に積極的でなかった。その最大の理由はビデオ越しの会話ではコミュニケーションがうまく取れないからだ。医療面接というのはビジネス上の面談とは似て非なるもので、患者の発する言葉をそのまま受け止めればいいわけではない。verbalよりもむしろnon-verbalのメッセージにこそ本当の“主訴”が隠れていることもあるからだ。「言った・言わない」が問題となるビジネスシーンとnon-verbalの訴えを見逃せない医療面接は全く異なるものだと考えた方がいい。

 そのコラムでも述べたように、オンライン診療ではなく電話診察の方が医療には適していると考えていた。直接対面よりは劣るが、電話の方がビデオ越しの会話よりもはるかにコミュニケーションがとりやすい。声の大きさやトーン、あるいは一瞬の間の取り方などから言葉そのものとは別のメッセージが伝わってくることも少なくないのだ。

 だが、幾つかの理由からついに当院でも電話再診を諦め、オンライン診療に切り替えることにした。もちろん、急変時には電話(やメール)をしてもらうことには変わりはないが、定期受診者の継続処方や検査結果の通知などは原則として電話再診ではなくオンラインとすることにした。

著者プロフィール

たにぐち やすし氏●1991年関西学院大学社会学部卒。商社勤務を経て、2002年大阪市立大学医学部卒。研修医終了後、タイのエイズ施設でのボランティアを経て大阪市立大学医学部総合診療センター所属となり、現在も同大非常勤講師。2007年に大阪・梅田に開業。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。労働衛生コンサルタント。

連載の紹介

谷口恭の「梅田のGPがどうしても伝えたいこと」
患者さんに最も近い立場で医療を行いたい……。それを実現するため医師6年目に資金300万円で開業した谷口氏。「どのような人でも、どのような症状でも受け入れる」をポリシーに過去11年で3万人以上の初診患者を診察した経験を基に、開業医のやりがいや苦労、開業医に求められるミッションを若手医師向けに語ります。

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