日経メディカルのロゴ画像

「ポストコロナワクチン症候群」は存在するか

 ポストコロナ症候群もしくはlong COVID、呼び名や定義は異なったとしても、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後の何らかの後遺症の存在は、もはや自明と言っていいだろう。では、「ポストコロナワクチン症候群」は存在するのだろうか。この“病名”、僕が今朝思いついたばかりのもので、きちんとした疾患名でないどころか、国内外の文献を探してもこのような報告は見当たらない。だが、当院には8月より似たような相談が寄せられ、次第に増えて無視できない状況になってきた。

 当院ではコロナワクチンの接種は実施していない。当院をかかりつけにしている患者からは失望の声を繰り返し聞くことになったが、「アナフィラキシーなどの重篤な副反応が出たときのことを考えると医療スタッフが大勢待機している集団接種会場が望ましい」と伝え了承してもらっている。ただし「会場を出てからのトラブルは当院で引き受ける」と伝えている。

 案の定、「翌日に高熱が出た」「しばらく収まっていた片頭痛の発作が繰り返し起こるようになった」「腕が腫れて動かせず仕事ができない」などなど、メールあるいは受診時にいろいろな訴えを聞いている。しかし、この程度のことは想定内であり、「つらいのは分かりますが、このワクチンはそういうリスクを差し引いてもベネフィットが大きいものだと考えてください」という内容の説得をしている。

 だが、中には無視できない事例がある。ここで幾つかの症例を紹介してみたい(ただし、プライバシー保護の観点から内容にはアレンジを加えている。また誤解や混乱を避けるために、ここではワクチンのメーカー名は伏せておく)。

著者プロフィール

たにぐち やすし氏●1991年関西学院大学社会学部卒。商社勤務を経て、2002年大阪市立大学医学部卒。研修医終了後、タイのエイズ施設でのボランティアを経て大阪市立大学医学部総合診療センター所属となり、現在も同大非常勤講師。2007年に大阪・梅田に開業。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。労働衛生コンサルタント。

連載の紹介

谷口恭の「梅田のGPがどうしても伝えたいこと」
患者さんに最も近い立場で医療を行いたい……。それを実現するため医師6年目に資金300万円で開業した谷口氏。「どのような人でも、どのような症状でも受け入れる」をポリシーに過去11年で3万人以上の初診患者を診察した経験を基に、開業医のやりがいや苦労、開業医に求められるミッションを若手医師向けに語ります。

この記事を読んでいる人におすすめ