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わいせつ行為は絶対ダメ、プロフェショナルオートノミーにできること

 司法がいつも正しいわけではないのは自明だとしても、その司法の判断にどうしても納得できない事件もある。それがこの連載で過去に二度取り上げた「乳腺外科医事件」だ。現在も決着はついておらず最高裁に持ち込まれることになった。第一審の東京地裁では外科医の無罪判決が下されたが、2020年7月13日、東京高裁は控訴審において地裁の無罪判決を破棄し、外科医に懲役2年の実刑判決が言い渡された。
 
 そして悲劇が起こった。およそ2カ月後の9月6日、一人の男子中学生が総武線快速の電車に飛び込んで亡くなったのだ。この少年が件の乳腺外科医の息子であることが月刊誌『選択』2020年10月号で報じられた。

 他の患者もいる大部屋で執刀医が手術直後の女性の胸をなめて自慰行為……。こんな事件が起こるはずはないと医療者は思うが、後述するように、世の中には信じられないようなわいせつ行為をはたらく医師がいるのは事実であり、乳腺外科医もその一人と考える一般人がいるのはむしろ当然なのかもしれない(個人的にはあり得ないと思っているが)。

 僕は乳腺外科医を支援する署名活動を終えてからも、機会があれば友人・知人にこの話をするようにしている。ほとんどの人は、僕の意見に納得してくれるのだが、中には「お前(僕のこと)がそう言うならそうやろうけど、素人からしてみれば医者っていうのはよう分からん人種なんや」という意見をくれた人もいた。

著者プロフィール

たにぐち やすし氏●1991年関西学院大学社会学部卒。商社勤務を経て、2002年大阪市立大学医学部卒。研修医終了後、タイのエイズ施設でのボランティアを経て大阪市立大学医学部総合診療センター所属となり、現在も同大非常勤講師。2007年に大阪・梅田に開業。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。労働衛生コンサルタント。

連載の紹介

谷口恭の「梅田のGPがどうしても伝えたいこと」
患者さんに最も近い立場で医療を行いたい……。それを実現するため医師6年目に資金300万円で開業した谷口氏。「どのような人でも、どのような症状でも受け入れる」をポリシーに過去11年で3万人以上の初診患者を診察した経験を基に、開業医のやりがいや苦労、開業医に求められるミッションを若手医師向けに語ります。

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