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自身が感染源となるリスクの自覚は十分か?

 最近の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の話は「ワクチン一色」となっているが、「発熱外来」を含め、日ごろ上気道炎症状を診ている立場からいえば、少々難儀な問題が持続している。前回は、野放しのPCR検査をこのままにしておいていいのか、というテーマを取り上げた。今回問題提起したいのは「検査拒否」そして「症状隠し」だ。

 「陽性だと差別されるから検査を受けたくない」という気持ちは理解できなくはないのだが、第4波での重症例や急激に悪化した事例を考えると、「それでも検査を受けるべきだと思います」と言わざるを得ないケースがある。また、感染者がこれだけ増えたことで差別が以前ほどは強くないようにも思える。

 だが、現実には検査を拒否する例が今も少なくない。「コロナかもしれない。検査は希望しないがとにかく治してほしい」と訴えて当院に電話をかけてきた40歳代の男性に「PCR検査を勧めます」と言うと、「大事な取引を控えていて、陽性だと会社に迷惑がかかる」と言い、結局、受診を拒否した。

 「身体がだるくて味覚障害もある」と言って電話をかけてきた30歳代の女性にPCRを勧めると、「うちの会社はPCRをしたら結果にかかわらず2週間自宅待機しないといけないんで……」と言い受診しないことになった。給与体系がほぼ歩合制の彼女にとって、2週間の自宅待機は致命的だという。

 こういった患者の気持ちは分からないでもない。では次の事例はどうだろう。

著者プロフィール

たにぐち やすし氏●1991年関西学院大学社会学部卒。商社勤務を経て、2002年大阪市立大学医学部卒。研修医終了後、タイのエイズ施設でのボランティアを経て大阪市立大学医学部総合診療センター所属となり、現在も同大非常勤講師。2007年に大阪・梅田に開業。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。労働衛生コンサルタント。

連載の紹介

谷口恭の「梅田のGPがどうしても伝えたいこと」
患者さんに最も近い立場で医療を行いたい……。それを実現するため医師6年目に資金300万円で開業した谷口氏。「どのような人でも、どのような症状でも受け入れる」をポリシーに過去11年で3万人以上の初診患者を診察した経験を基に、開業医のやりがいや苦労、開業医に求められるミッションを若手医師向けに語ります。

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