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ポストコロナ症候群の謎が解けたかもしれない

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)には後遺症があるのでは?と僕が初めて感じたのが2020年3月。当院をかかりつけ医にしている30歳代の女性がCOVID-19様症状を呈した後、長引く咳と倦怠感を訴えたのだ。他にも何人かが「コロナにかかったせいだ」と思い込み不定愁訴を訴えたが、この女性は長年の通院歴から判断してそのようなタイプではない。その後、複数の患者から、単なる精神症状や不定愁訴ではなさそうな訴えを繰り返し聞くことになり、後遺症の存在を確信するようになった。

 そして、本連載の2020年5月8日号で「長期的視野で『ポストコロナ症候群』に備えよ!」というタイトルのコラムを公開した。そこから一部を引用しよう。

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しばらくすると不定愁訴と思われる、つまり総合診療の現場でよく診るようなドクターショッピングを繰り返している症例が増えるのではないか。それを従来の不定愁訴のカテゴリーに入れる前に、COVID-19が流行する前には一切なかったことを必要条件とした上で、長引く倦怠感、動悸、息切れ、下痢、皮疹、しびれ、不眠、頭痛、抑うつ状態などを診たときは「ポストコロナ症候群」と考えるべきではないだろうか。
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 結果としては、この推測はほぼ正しかったように思う。実際、このような患者が次第に増えるようになってきた。つまり、COVID-19に罹患した後に、長引く倦怠感、動悸、息切れといった症状が生じている事例が少なくないのだ。皮疹については紅斑や膨疹はみないが脱毛がある。もっとも、「COVID-19に罹患」が不確かな例も少なくない。「PCRは受けていないけれど感染したに違いありません」と強く訴える者ほど、本当は感染していなかったのではないかと疑いたくなる。

 だが、COVID-19の確定診断がついて(保健所に届けられ)、その後ウイルスは消失したものの症状が残存しているという事例も少なくない。「ポストコロナ症候群」という病名が適切かどうかは別にして(最近では、Long-COVIDとも呼ばれている)コロナ後遺症は確実に存在することにもはや異論はないだろう(ちなみにVoice of Americaは2020年7月1日の記事で「Post-COVID Syndrome」という言葉を使っている)。

著者プロフィール

たにぐち やすし氏●1991年関西学院大学社会学部卒。商社勤務を経て、2002年大阪市立大学医学部卒。研修医終了後、タイのエイズ施設でのボランティアを経て大阪市立大学医学部総合診療センター所属となり、現在も同大非常勤講師。2007年に大阪・梅田に開業。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。労働衛生コンサルタント。

連載の紹介

谷口恭の「梅田のGPがどうしても伝えたいこと」
患者さんに最も近い立場で医療を行いたい……。それを実現するため医師6年目に資金300万円で開業した谷口氏。「どのような人でも、どのような症状でも受け入れる」をポリシーに過去11年で3万人以上の初診患者を診察した経験を基に、開業医のやりがいや苦労、開業医に求められるミッションを若手医師向けに語ります。

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