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花粉症で薬局にお願いしたいことと「零売」

 花粉症のシーズンになると、薬局にお願いしたくなること(時には文句を言いたくなることも)がたくさん出てくる。それらは「そんな薬を長々と販売し続けるのは止めて早く医療機関受診を促してほしい」というケースと、その逆に「この症例なら医療機関受診でなく薬局で診てもらえないだろうか」という場合だ。それぞれについて具体的なケースを述べてみたい。

 販売の見直しをしてほしいとしばしば思うケースを3つ挙げたい。

 1つは眠気を起こしやすい抗ヒスタミン薬を車の運転をする人に販売しないでほしいということだ。こんなこと常識ではないかという気がするが、例えば(d)クロルフェニラミンが主成分のOTC薬を、眠気を我慢して飲んでいるドライバーは意外に多い。当院では抗ヒスタミン薬を含むOTCの一覧表を用意して患者に説明している。そして、OTCを購入するときには眠気を中心とした副作用のリスクと有効性の双方について薬剤師からきちんと説明を受けるように、と指導している。

 2つ目はエフェドリンが配合されている薬だ。エフェドリンの危険性については、既に過去のコラム(薬剤師への切なるお願い~かぜ薬編~)でも述べた。漠然とエフェドリン配合のOTC鼻炎薬を長期間内服して、いつの間にかやめられなくなったという人が大勢いることはもっと注目されるべきだ。

 3つ目は点鼻薬に含まれているナファゾリンだ。速効性と強力な血管収縮作用から鼻づまりによく効くために、ナファゾリン配合の点鼻薬のみで花粉症を乗り切っているという患者(消費者)も少なくない。しかし、当院での経験上「薬局で危険性についての説明を聞いた」と答えた者はいまだに一人もいない。ただちに危険性を説明して中止または漸減するよう説得するが、気に入っている薬をやめさせるのは時にかなり大変なのだ。

 OTCのナファゾリンに関する説明文書には「長期連用しないでください」と書かれてはいる。しかし、この小さな文字をわざわざ読む人はそうはいないだろうから、やはり販売するときにきちんと説明しなければならない。

 もっとも、実際にはナファゾリンの中毒症状が起こったとか、ナファゾリン依存症になったという患者を診たことはない。けれども、血圧が高い患者や高齢者が長期間使い続けるのが問題なのは自明だろう。最近は、長期使用を前提としたステロイドのOTC点鼻薬も販売されているわけだから、これらの違いを患者(消費者)に説明した上で、ナファゾリンではなくステロイドを推薦していただきたいと思う。

著者プロフィール

たにぐち やすし氏●1991年関西学院大学社会学部卒。商社勤務を経て、2002年大阪市立大学医学部卒。研修医終了後、タイのエイズ施設でのボランティアを経て大阪市立大学医学部総合診療センター所属となり、現在も同大非常勤講師。2007年に大阪・梅田に開業。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。労働衛生コンサルタント。

連載の紹介

谷口恭の「梅田のGPがどうしても伝えたいこと」
患者さんに最も近い立場で医療を行いたい……。それを実現するため医師6年目に資金300万円で開業した谷口氏。「どのような人でも、どのような症状でも受け入れる」をポリシーに過去11年で3万人以上の初診患者を診察した経験を基に、開業医のやりがいや苦労、開業医に求められるミッションを若手医師向けに語ります。

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