
9価のワクチンが日本でもついに発売されたこともあり、HPVワクチンに対する需要が高まってきているようだ。先日、市民向けの講演会でワクチンについて話したところ、メインは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンについてだったにもかかわらず、ヒト・パピローマ・ウイルス(HPV)ワクチンに関する質問を複数受けることになった。今回はあまり指摘されないHPVワクチンの「問題」について取り上げたい。
HPVワクチン接種率を上げる確実な方法については過去のコラム( HPVワクチン接種率を確実に上げる方法)で述べた。その「方法」とは、医療者の接種率を上げることだ。そのコラムで述べたように、HPVワクチン接種率が最も高い集団は恐らく女性の産婦人科医だと思う。データを見たことはないが、医師全体でみても接種率は他の集団より高いだろうし、看護師や薬剤師など他の医療スタッフもある程度は高いはずだ。
だが、医療者の間でもまだまだ接種率は高いとは言えないのではないだろうか。だから、まずすべきことは一般市民への啓発活動よりもむしろ、医療者へ普及させることだ。女性医師、女性看護師、女性薬剤師、他の女性の医療者の8割以上、男性の医療者も半数以上が既に接種済となり、それが世間に知れ渡れば、特別な啓発活動をしなくても一般市民の接種率は自ずと上がるに違いない。