日経メディカルのロゴ画像

HPVワクチン、僕が現状の定期接種を勧めない事情

 9価のワクチンが日本でもついに発売されたこともあり、HPVワクチンに対する需要が高まってきているようだ。先日、市民向けの講演会でワクチンについて話したところ、メインは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンについてだったにもかかわらず、ヒト・パピローマ・ウイルス(HPV)ワクチンに関する質問を複数受けることになった。今回はあまり指摘されないHPVワクチンの「問題」について取り上げたい。

 HPVワクチン接種率を上げる確実な方法については過去のコラム( HPVワクチン接種率を確実に上げる方法)で述べた。その「方法」とは、医療者の接種率を上げることだ。そのコラムで述べたように、HPVワクチン接種率が最も高い集団は恐らく女性の産婦人科医だと思う。データを見たことはないが、医師全体でみても接種率は他の集団より高いだろうし、看護師や薬剤師など他の医療スタッフもある程度は高いはずだ。

 だが、医療者の間でもまだまだ接種率は高いとは言えないのではないだろうか。だから、まずすべきことは一般市民への啓発活動よりもむしろ、医療者へ普及させることだ。女性医師、女性看護師、女性薬剤師、他の女性の医療者の8割以上、男性の医療者も半数以上が既に接種済となり、それが世間に知れ渡れば、特別な啓発活動をしなくても一般市民の接種率は自ずと上がるに違いない。

著者プロフィール

たにぐち やすし氏●1991年関西学院大学社会学部卒。商社勤務を経て、2002年大阪市立大学医学部卒。研修医終了後、タイのエイズ施設でのボランティアを経て大阪市立大学医学部総合診療センター所属となり、現在も同大非常勤講師。2007年に大阪・梅田に開業。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。労働衛生コンサルタント。

連載の紹介

谷口恭の「梅田のGPがどうしても伝えたいこと」
患者さんに最も近い立場で医療を行いたい……。それを実現するため医師6年目に資金300万円で開業した谷口氏。「どのような人でも、どのような症状でも受け入れる」をポリシーに過去11年で3万人以上の初診患者を診察した経験を基に、開業医のやりがいや苦労、開業医に求められるミッションを若手医師向けに語ります。

この記事を読んでいる人におすすめ