
過去のコラム(悪名高いOTC鎮痛薬、販売継続の謎)で、ドラッグストアに勤務する薬剤師にはOTC鎮痛薬に慎重になってもらいたいことを述べた。非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)にも薬物乱用頭痛のような依存性があり注意が必要だが、最も問題だと思うのがブロムワレリル尿素(ブロモバレリル尿素)だ。いかにも優しそうなイメージのCMが作られ、このような危険な成分を含む鎮痛剤が気軽に買えることが大いに疑問だ。
ちなみに、現在当院で最も重症のブロムバレリル尿素依存症の患者(30歳代女性)は、テレビCMで有名なその商品よりも伊丹製薬の「ウット」の方が入手しやすいことを知ってしまった。前回の受診時、「ネットでは1ダース買えるんです……」と話す笑顔は随分とくたびれていた。
今回も鎮痛薬についての話であるが、ドラッグストアではなく医療機関での処方、つまり「我々医師は処方の方針を見直さなくてもいいのか」という問題提起だ。症例を紹介しよう。