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コロナワクチン、「フィリピンの悲劇」再来はないのか?

 まず、誤解のないように「事実」を述べると、僕は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のワクチンを接種する予定だ。集団免疫を獲得するためには接種者を増やさねばならない。だが、患者から「うった方がいいんでしょうか」と尋ねられたときには「現時点では有効で安全性も高いとされてはいますが、中長期的には分かりません」と答えている。

 ファイザー社、モデルナ社ともにワクチンの有効率は約95%とされていて、これは素晴らしい数字だが個人的には有効率が少々低くても安全性の方が大切だと考えている。一部の非医療者の人たちから誤解されているようだが、有効なワクチンが市場に出回ったとしても我々は元の世界に戻れるわけではない。やはり「3密」を避けてマスクを着用するという新しいルールは守らねばならない。だからワクチンは有効率がここまで高くなくても有益だと思う。より重要なのは安全性の方だ。

 アナフィラキシーの頻度が他のワクチンよりもわずかに高いようだが、この程度の数字であれば大半の人が受け入れるだろう。過去に幾つかのワクチンで問題となったギラン・バレー症候群のような神経症状も現時点では報告がなさそうだ。だが、そういった副反応よりも検証に時間がかかるものはどうだろう。既にいろんなところで可能性が指摘されている「抗体依存性感染増強(関連記事:新型コロナのワクチン開発、専門家が気にする“ある副作用”)」だ。

著者プロフィール

たにぐち やすし氏●1991年関西学院大学社会学部卒。商社勤務を経て、2002年大阪市立大学医学部卒。研修医終了後、タイのエイズ施設でのボランティアを経て大阪市立大学医学部総合診療センター所属となり、現在も同大非常勤講師。2007年に大阪・梅田に開業。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。労働衛生コンサルタント。

連載の紹介

谷口恭の「梅田のGPがどうしても伝えたいこと」
患者さんに最も近い立場で医療を行いたい……。それを実現するため医師6年目に資金300万円で開業した谷口氏。「どのような人でも、どのような症状でも受け入れる」をポリシーに過去11年で3万人以上の初診患者を診察した経験を基に、開業医のやりがいや苦労、開業医に求められるミッションを若手医師向けに語ります。

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