今年2月以降、メディアからの取材を内容によっては引き受けるようにしている。新型コロナウイルス(COVID-19)流行前は、都合のいいように編集されるのが嫌なのでテレビ局からの依頼はほぼ全て断っていたし、新聞社や出版社、ネットメディアのものも、公開前に校正させてもらえるもの以外は基本的に引き受けていなかった。だが、COVID-19については「これは世間に伝えなければならない」という事例を経験するようになり方針を変更した。ただし、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の生物学的な特徴や、COVID-19の公衆衛生学的な内容についての取材は原則断っている。僕のようなGPではなく、感染症や公衆衛生学を専門としている先生にお願いするのが筋だからだ。
僕が取材を引き受けるのは、目の前の患者がどのような問題を抱えているかを世間に広く伝えたいときだ。2月は「発熱などで複数の医療機関から診察拒否される」ことについて、3月、4月は「医師がPCR検査を必要と判断しても保健所が認めてくれない」という問題について、夏には「ポストコロナ症候群について」が多かった(なお、「ポストコロナ症候群」は僕が勝手に命名している病名で、COVID-19罹患後長期間残ったり、治癒後に出現したりする様々な症状のこと。関連記事:長期的視野で「ポストコロナ症候群」に備えよ!)。
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著者プロフィール
たにぐち やすし氏●1991年関西学院大学社会学部卒。商社勤務を経て、2002年大阪市立大学医学部卒。研修医終了後、タイのエイズ施設でのボランティアを経て大阪市立大学医学部総合診療センター所属となり、現在も同大非常勤講師。2007年に大阪・梅田に開業。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。労働衛生コンサルタント。

連載の紹介
谷口恭の「梅田のGPがどうしても伝えたいこと」
患者さんに最も近い立場で医療を行いたい……。それを実現するため医師6年目に資金300万円で開業した谷口氏。「どのような人でも、どのような症状でも受け入れる」をポリシーに過去11年で3万人以上の初診患者を診察した経験を基に、開業医のやりがいや苦労、開業医に求められるミッションを若手医師向けに語ります。
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