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なんで電話がダメでオンライン診療のみ恒久化?

2020/11/20
谷口 恭(太融寺町谷口医院)

 2020年10月、田村憲久厚生労働大臣、河野太郎行政改革担当大臣、平井卓也デジタル改革担当大臣の3大臣がオンライン診療恒久化に関する合意を行い、「初診も含めてオンライン診療を原則解禁」「オンライン診療は、電話ではなく映像があることを原則とする」という2大方針が決定された。その3カ月前の7月7日、僕は当連載のコラム「遠隔診療、電話で診るか、オンラインで診るか」で、遠隔診療は電話に軍配が上がり、オンラインで診療はできないという私見を述べた。

 その最大の理由が「オンラインではnon-verbalの情報が伝わらない」というものだ。電話なら、患者の目は見られないものの、会話中の一瞬の“間”、変化した息遣い、わずかな声のトーンの乱れなどから患者の本意を推測することがある程度は可能だ。だが、Zoomなどのオンライン対話では画面越しに目は見られるものの、こういった「微妙な変化」が伝わらない。

 もっとも、僕はオンラインの全てを否定しているわけではない。学会は従来の会場参加型よりオンラインの方が(懇親会を除けば)メリットが多い。スライドは見やすいし。少人数のセミナーなどでは質疑応答やディスカッションの時間で発言者の顔がよく見えるので、むしろオンラインの方が優れているのではないかとも思う。もちろん交通費や移動にかかる時間を節約することもできる。将来新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を恐れなくてもいい時代が来たとしても学会やセミナーは元のかたちには戻らないだろう。

 ビジネスミーティングでも同様のことがいえる。先日、ある企業から講演を頼まれ、その企業の社長とZoomで打ち合わせをする機会があった。内心「メールと電話でいいんじゃないの?」と思っていたのだが、意外にスムースに話が進んだ。話が長時間に及んだので、受話器を持つ手が疲れないだけZoomの方がよかったかも、と感じた。

著者プロフィール

たにぐち やすし氏●1991年関西学院大学社会学部卒。商社勤務を経て、2002年大阪市立大学医学部卒。研修医終了後、タイのエイズ施設でのボランティアを経て大阪市立大学医学部総合診療センター所属となり、現在も同大非常勤講師。2007年に大阪・梅田に開業。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。労働衛生コンサルタント。

連載の紹介

谷口恭の「梅田のGPがどうしても伝えたいこと」
患者さんに最も近い立場で医療を行いたい……。それを実現するため医師6年目に資金300万円で開業した谷口氏。「どのような人でも、どのような症状でも受け入れる」をポリシーに過去11年で3万人以上の初診患者を診察した経験を基に、開業医のやりがいや苦労、開業医に求められるミッションを若手医師向けに語ります。

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