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新型コロナ流行下で露呈するインフルワクチンの問題点

2020/09/29
谷口 恭(太融寺町谷口医院)

 この季節になると毎年寄せられて、そして返答に困る質問が「インフルエンザのワクチンは1回でいいのですか」だ。当院をかかりつけ医にしている患者には10月になるとワクチンを推奨しているが、毎年言われるのが「今打つと最後まで持たないでしょ。12月の初旬に打ちます」というようなことだ。実際、厚生労働省のサイトには「12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましい」と書かれている。先日は、ある看護学生から「学校からは11月まで待つように指示された」と言われた。

 だが、インフルエンザワクチンは12月に入ってからでは遅すぎる。なぜなら、その頃には(少なくとも当院では)品切れとなっているからだ。インフルエンザワクチンの仕入れは思うようにいかない。開業した年には卸業者から「原則として前年の実績と同じ程度しか納入できない」と言われた。しかし、開業1年目の前年はゼロに決まっているではないか。強く主張して100人分ほどをなんとか都合をつけてもらったがこんな数で足りるはずがない。それ以降毎年強引に訴えて少しずつ増やしてきたが増加量はたかがしれている。たいていは11月中旬になくなるのだ。

 だから、開院以来当院ではワクチン対象者は「当院をかかりつけ医にしている人限定」として、未受診の人の依頼は全て断っている。「せっかく来たのに!」と受付で騒ぎ出す人たちにはすっかり慣れた。「友達も連れて来ました」という当院の患者には気の毒だが、「お友達は当院がかかりつけではないからできません」と言って、その患者の顔をつぶしてしまっている。

著者プロフィール

たにぐち やすし氏●1991年関西学院大学社会学部卒。商社勤務を経て、2002年大阪市立大学医学部卒。研修医終了後、タイのエイズ施設でのボランティアを経て大阪市立大学医学部総合診療センター所属となり、現在も同大非常勤講師。2007年に大阪・梅田に開業。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。労働衛生コンサルタント。

連載の紹介

谷口恭の「梅田のGPがどうしても伝えたいこと」
患者さんに最も近い立場で医療を行いたい……。それを実現するため医師6年目に資金300万円で開業した谷口氏。「どのような人でも、どのような症状でも受け入れる」をポリシーに過去11年で3万人以上の初診患者を診察した経験を基に、開業医のやりがいや苦労、開業医に求められるミッションを若手医師向けに語ります。

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