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COVID-19疑い患者でのDダイマー検査がまさかの「返戻」

2020/07/15
谷口 恭(太融寺町谷口医院)

 4月までに比べると随分とハードルが下がったとはいえ、保健所(帰国者センター)に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のPCR検査を認めてもらうには今も苦労することがある。最近は「臨床的に必要と考えられるなら認めます」と言ってくれる地域(や担当者)もあるが、「その程度では認められません」と言われることも依然多い。

 当院がしつこくお願いしたけれどもPCRを認めてもらえず、入院してからCOVID-19陽性が判明した事例もあったことから、当院でPCR用の検体を採取させてもらえないかを保健所に直談判したのが5月中旬。意外にもあっさりOKと言われたものの、その後、進展がなくまだ手続きをさせてもらっていない。ある民間の保険会社から「保健所がOKしたのならば引き受けます」と言われたため、現在は民間の検査会社に検体を提出できるようにはなった。だが、保健所との正式な契約が完了するまでは保険診療で検査ができないため、現在は「仕事で提出が義務付けられている」という人などを対象に「陰性証明」というあまり気の進まない自費の検査をしている。

 そんな中、保健所の担当者を“口説き落とす”コツが分かってきた。以前は、「帰国者との接触がないとね~」とか「レントゲンに異常がないんですよね~」とか「リンパ球が下がる疾患は他にもありますから~」などと言われ、結局「現時点ではPCRの対象とならない」と言われ断られていたのだが、「Dダイマーが高値を示しています」が強力な“武器”になることが分かったのだ。

 だから、発熱・倦怠感・咳嗽などが数日間続き、さらに患者自身は保健所から断られたという事例に対しては、当院ではまず採血を行うようにしている。リンパ球数(白血球分画)、CRP、乳酸脱水素酵素(LD)、腎機能などにDダイマーを加えるのだ。そして、Dダイマーが上昇している場合(およそ2ug/mLを僕は基準にしている)は、これを”武器”に保健所に交渉するのだ。

 そして、この”武器”は今のところ極めて有効だ。なぜなら、DダイマーがCOVID-19の重症化マーカーの筆頭であることは厚生労働省発行の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き」にも記載されているのだから。「若年者は重症化しないから検査結果にかかわらず(一人暮らしなら)自宅安静」という考えには僕も賛成だ。だが、たとえ若者であってもDダイマーが上昇していれば重症化するかもしれないのだから、保健所も断れないのだろう。

著者プロフィール

たにぐち やすし氏●1991年関西学院大学社会学部卒。商社勤務を経て、2002年大阪市立大学医学部卒。研修医終了後、タイのエイズ施設でのボランティアを経て大阪市立大学医学部総合診療センター所属となり、現在も同大非常勤講師。2007年に大阪・梅田に開業。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。労働衛生コンサルタント。

連載の紹介

谷口恭の「梅田のGPがどうしても伝えたいこと」
患者さんに最も近い立場で医療を行いたい……。それを実現するため医師6年目に資金300万円で開業した谷口氏。「どのような人でも、どのような症状でも受け入れる」をポリシーに過去11年で3万人以上の初診患者を診察した経験を基に、開業医のやりがいや苦労、開業医に求められるミッションを若手医師向けに語ります。

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