日経メディカルのロゴ画像

「私きっとコロナ流行前に感染していたと思う病」が日本でも流行中!?

2020/05/26
谷口 恭(太融寺町谷口医院)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)二次感染の半数近くは一次感染者が発症する数日前の無症状期に感染していることは疑いようがなさそうだ。例えば台湾の研究では二次感染の45%(10/22)が、中国の研究では44%が、一次感染者が発症する前に感染している。だから、(数日後に症状が出ない保証はどこにもないのだから)全ての人が無症状でもマスクを(他人に感染させないために)装着しなければならないと考えるべきだ。また、サージカルマスクでは他人からの感染を防ぐ効果は十分ではないが、しないよりはましであろう。つまり、自分からの感染予防にも他人からの感染予防にもマスクは大切である。

 にもかかわらずマスクをしない人たちが少しずつ増えてきている。街を歩く人たちもそうだし、太融寺町谷口医院(以下、谷口医院)にも1日1人くらいはマスクをせずにやってくる患者がいる。最近、立て続けに同じ“言い訳”を聞いて疑問に思っていたところ、これが新たな“疾患”である可能性を知った。今回はその新しい疾患「私きっとコロナ流行前に感染していたと思う病(thinkihadititis)」について考えてみたい。

 30歳代後半の男性患者がマスクをせずに診察室に入ってきた(主訴は下肢の皮疹)。「どうしてマスクをしないのですか」と聞いてみると、「自分はコロナに感染しないからです」と“奇妙な”答えが返ってきた。実はこれに似た回答には3月の下旬ごろまではときどき遭遇していた。もっと若い人に多いが30歳代、40歳代でもこう答える者がいたのだ。その理由は決まっていた。「自分は若いから感染しても軽症で済む」というものだ。患者がイメージする「軽症」は我々医療者の使う「軽症」とは異なっているのだが、今回言いたいのはそのことではない。3月まで聞いていたのは「感染しても軽症で済む」だったのに対し、最近は「感染しない」と言われるのだ。

 「新型コロナに感染しないから」と答える患者が続ける。

著者プロフィール

たにぐち やすし氏●1991年関西学院大学社会学部卒。商社勤務を経て、2002年大阪市立大学医学部卒。研修医終了後、タイのエイズ施設でのボランティアを経て大阪市立大学医学部総合診療センター所属となり、現在も同大非常勤講師。2007年に大阪・梅田に開業。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。労働衛生コンサルタント。

連載の紹介

谷口恭の「梅田のGPがどうしても伝えたいこと」
患者さんに最も近い立場で医療を行いたい……。それを実現するため医師6年目に資金300万円で開業した谷口氏。「どのような人でも、どのような症状でも受け入れる」をポリシーに過去11年で3万人以上の初診患者を診察した経験を基に、開業医のやりがいや苦労、開業医に求められるミッションを若手医師向けに語ります。

この記事を読んでいる人におすすめ