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新型コロナ、検査はかかりつけ医主導にすべき

2020/03/25
谷口 恭(太融寺町谷口医院)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19、ウイルス名SARS-CoV-2)の検査が必要と考え帰国者・接触者相談センターに相談しても、「感染者との濃厚接触や件のライブハウス入場」といった特別なエピソードがなければ断られることを前回のコラムで述べた。

 限られたキャパシティーの中で検査をするには行政がイニシアチブを取り優先順位を選定せねばならないのは分かる。また、やみくもに検査をすればいいというものでもない。そもそも「検査や薬は最小限」というのは太融寺町谷口医院(以下、谷口医院)が13年前から言い続けていることであり、検査を希望する患者に、なぜ検査が不要かを説明するのには慣れている。COVID-19の場合は行政がダメと言っているわけだから説明は特にたやすい。「ズルい!」という指摘はあると思うが、患者に“同情”し行政に”悪者”になってもらえば実に簡単だ。例えばこんなふうに。

 「そうですよね~。僕も同じように感じます。でもね、帰国者センターが『うん』と言ってくれないんですよ~。ライブハウスとか海外からの帰国とか、いろいろと条件を付けられるんですよ。僕らも困ってるんですよね~」

 もっともこの後のフォローは表情を引き締めて真剣モードで行う。

 「けれども、あなたの場合はそう心配いらないですよ。新型コロナの可能性はあると思いますし、今はしんどいでしょうけど、日ごろ健康ですから数日間休んでいれば元気になりますよ。他人、特に高齢者に近づくことは避けなければなりませんし、職場には少なくとも症状が取れるまでは出勤すべきではありませんが、今も少量とはいえ食事も摂れているわけですから必ず回復します」

 と、こんな感じでたいていうまくいく。うまくいかないのは外国人の場合だ。日ごろから良好な患者医師関係を築いている日本在住の外国人の場合は日本人と同じような説明で納得してもらえるが、まだ日本に馴染みがないケースではそうはいかない。彼(女)らには「日本特殊論」が通用しないのだ。「なぜ、他国ではできる検査が日本ではできないのだ」と詰め寄られると説得は困難になる。ある外国人からは「日本はどうしてもオリンピックを開催したいから感染者数を少なく見せたいのではないのか」と指摘された。至極もっともな意見である。

著者プロフィール

たにぐち やすし氏●1991年関西学院大学社会学部卒。商社勤務を経て、2002年大阪市立大学医学部卒。研修医終了後、タイのエイズ施設でのボランティアを経て大阪市立大学医学部総合診療センター所属となり、現在も同大非常勤講師。2007年に大阪・梅田に開業。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。労働衛生コンサルタント。

連載の紹介

谷口恭の「梅田のGPがどうしても伝えたいこと」
患者さんに最も近い立場で医療を行いたい……。それを実現するため医師6年目に資金300万円で開業した谷口氏。「どのような人でも、どのような症状でも受け入れる」をポリシーに過去11年で3万人以上の初診患者を診察した経験を基に、開業医のやりがいや苦労、開業医に求められるミッションを若手医師向けに語ります。

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