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連載第12回(最終回)
女性のコレステロールは下げなくても良い!

2006/06/28

 60歳の女性Qさんは、初診時(54歳)の総コレステロール337mg/dL、HDLコレステロール71mg/dL、中性脂肪106mg/dLで、最近のデータは総コレステロール300mg/dL、HDLコレステロール72mg/dL、中性脂肪87mg/dLである。この間、一時期スタチンを服用したが、コレステロールに関する本を読んで短期間で中止。

 今回、頸動脈エコー内中膜複合体厚IMT)を計測し、maxIMTは両側とも0.7mmで、60歳未満の基準値である1.0mm以下と問題がなく「今のところ、動脈硬化の兆候はなく、これまで通り薬は飲まなくても結構です」と説明すると、Qさんは「ありがとうございます。これからも食事に気を付けますね」と笑顔で話された。

 日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患診療ガイドライン2002」では、55歳以上の女性の総コレステロールの管理基準は220mg/dL未満とされている。しかし、この連載で主張しているように、私は「女性のコレステロールは下げなくても良い」と考えている。Qさんのように、総コレステロール300mg/dLであっても、頸動脈エコーで動脈硬化の兆候が見られなければ、コレステロール低下薬を処方する必要はなく、患者さんには経過観察のための定期的な通院を指導している。

 さて、ここまで女性の生活習慣病、特に循環器疾患におけるリスク因子の性差を検証しながら、中高年女性を診察する際の“コツ”を解説してきたが、改めて「中高年女性を診るための12カ条」としてまとめてみた(図参照)。

著者プロフィール

田中裕幸(ニコークリニック理事長)●たなか ひろゆき氏。1978年長崎大卒。久留米大第三内科、大牟田市立病院(現大牟田総合病院)循環器科医長、春陽会上村病院循環器科医長を経て、94年に開業。

連載の紹介

【臨床講座】中高年女性を診る
同じ生活習慣病の中高年患者といっても、男性と女性では様々な違いがあります。循環器疾患におけるリスク因子(高脂血症、高血圧、糖尿病など)の性差を中心に、中高年女性を診察する際のポイントを解説します。

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