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“線虫がん検査”騒動、法的な論点は

2022/01/06
田邉昇(弁護医師、中村・平井・田邉法律事務所)

 医療行為というのは、患者の診断や治療を目的とする行為である。検査結果や所見によって病気の有無を判断しなければその先の治療につなげられないし、治療による効果がなければ疾患が悪化し、死に至る場合もある。

 当たり前のようだが、医療を行う際に問われるのが科学的根拠である。EBM(evidence-based medicine)でいうところの科学的根拠とはあくまで「疫学的な側面での科学的根拠」であるが、その前段階としてin vitroやin vivo、動物実験レベルで高い効果があり、理論的に有効な「科学的根拠」を有する治療方法も数多ある。ただし論文で原理が示されているからといって、その検査法・治療法がすぐ目の前の患者に適用できるわけではないことや、いざ実臨床(リアルワールド)の場に出たときに論文通りの結果をもたらさない可能性については、医療に携わる者であれば学生時代にたたき込まれたはずである。

 日本の実臨床では、健康保険制度の中での医療がほとんどであるから、in vitroレベルの話を臨床応用するというのは臨床研究法対象の研究以外にはあまり見かけないが、自費診療では種々の診療行為が行われている。

著者プロフィール

たなべ のぼる氏〇 1984年に名古屋大卒。都立駒込病院に勤務し、名古屋大学大学院で血液内科学を専攻する傍ら、救急医療、臨床腫瘍学などにも従事。旧厚生省などでの勤務を経て2001年に弁護士登録。診療を行う傍ら、医師の視点で弁護士として、非常勤裁判官として、医療訴訟を中心に多くの事件を担当。中村・平井・田邉法律事務所に所属。

連載の紹介

弁護医師・田邉昇の『医と法の視点』
話題の医療・医学に関連したニュースを、臨床医(総合内科専門医・血液専門医)でもあり、旧厚生省の勤務経験を持つ田邉昇氏が、法律家の立場で易しく解説します。

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