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マスク、ワクチン差別と雇用

2021/04/16
田邉昇(弁護医師、中村・平井・田邉法律事務所)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)も、いよいよワクチン接種が進み始めた。私の顧問先の病院でも、感染症指定医療機関は2回目まで終了しているところが多く、COVID-19患者の受け入れ病院でも接種が進んでいるようだ。私も医師として診療を行っているので、接種予定である。しかし今のスピードではオリンピック開催の時点で一般の人の接種まではできていない可能性も高そうである。

 一方で、「ワクチン接種をしない」という選択も自由である。他のワクチンによるアナフィラキシー歴のある人はもちろんだが、mRNAワクチンに含まれるポリエチレングリコールに対するアレルギーがある人などは副反応の危険性が高いと考えられる(なお、mRNAワクチンにはチメロサールなどの防腐剤は添加されていないようだ)。また、個人的なポリシーに基づいて接種しない人もいるだろう。

 感染症は、ハンセン病、結核、HIV、そしてCOVID-19診療に携わる医療従事者への差別など、昔から今に至るまでヒトの醜い感情が引き起こされやすいものだ。よって今後、ワクチン接種の有無で差別が生じる可能性もある。報道によれば、“ワクチン大臣”こと河野太郎規制改革担当相が4月11日のNHK番組で、ワクチン接種の有無による差別防止に向け、ガイドラインを策定する考えを示していた(時事ドットコム、2021年4月11日)。例えば、ワクチンを接種していない人が「感染防止対策の妨げになる」などと言われ、就業制限や望まない配置転換などを受けたりするようなことも、今後は懸念される。同時に、これは「マスクの着用」でも現に起きつつある問題のようだ。

著者プロフィール

たなべ のぼる氏〇 1984年に名古屋大卒。都立駒込病院に勤務し、名古屋大学大学院で血液内科学を専攻する傍ら、救急医療、臨床腫瘍学などにも従事。旧厚生省などでの勤務を経て2001年に弁護士登録。診療を行う傍ら、医師の視点で弁護士として、非常勤裁判官として、医療訴訟を中心に多くの事件を担当。中村・平井・田邉法律事務所に所属。

連載の紹介

弁護医師・田邉昇の『医と法の視点』
話題の医療・医学に関連したニュースを、臨床医(総合内科専門医・血液専門医)でもあり、旧厚生省の勤務経験を持つ田邉昇氏が、法律家の立場で易しく解説します。

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