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東京女子医大プロポフォール事件、ICU医師が7年後に起訴された背景

2021/02/22
田邉昇(弁護医師、中村・平井・田邉法律事務所)

 東京女子医科大学病院で2014年、集中治療室(ICU)で頸部濾胞性リンパ管腫術後、人工呼吸中だった2歳の男児がプロポフォール注入症候群で死亡した事案で、東京地検は今年の1月26日になって、男児の処置にかかわった当時の研修医と、当時のICU副部長の2人を業務上過失致死罪で在宅起訴したことを発表した。

 書類送検されたのが昨年10月だったと言うから、警察の捜査自体が長い時間をかけていることが分かる。

 この件では、東京女子医科大は2015年4月27日に、外部の事故調査委員会による事故調査報告書を公表している(調査報告書の完成日時は同年2月5日、日経メディカル Onlineの関連記事)。同報告書によると、ICU人工呼吸下にあった2歳男児に対し、70時間15分でプロポフォール6953.5mg(平均持続投与量8.1mg/kg/hr)が投与されており、人工呼吸中の成人の鎮静に適切な最大投与量の2.7倍量としているが、直接死因は「横紋筋融解症、高CK血症、不整脈、心不全、高乳酸血症を伴うアシドーシスの症状からプロポフォール注入症候群が直接死因とするのが妥当」とし、その誘因はプロポフォールの長時間・大量投与だったと指摘している。

 人工呼吸下の小児へ鎮静薬として、添付文書上「使用が禁忌」となっているプロポフォールを投与していたことについては、投与を指示した医師がICUにおける小児鎮静におけるプロポフォール投与を「禁忌」ではなく、「慎重に使用すべき薬剤」と捉えていたこと、また、そのためにモニタリングや説明が不十分であったなどと結論付けている。

著者プロフィール

たなべ のぼる氏〇 1984年に名古屋大卒。都立駒込病院に勤務し、名古屋大学大学院で血液内科学を専攻する傍ら、救急医療、臨床腫瘍学などにも従事。旧厚生省などでの勤務を経て2001年に弁護士登録。診療を行う傍ら、医師の視点で弁護士として、非常勤裁判官として、医療訴訟を中心に多くの事件を担当。中村・平井・田邉法律事務所に所属。

連載の紹介

弁護医師・田邉昇の『医と法の視点』
話題の医療・医学に関連したニュースを、臨床医(総合内科専門医・血液専門医)でもあり、旧厚生省の勤務経験を持つ田邉昇氏が、法律家の立場で易しく解説します。

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