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対COVID-19政策と憲法問題

2021/01/22
田邉昇(弁護医師、中村・平井・田邉法律事務所)

 現在の第3波と言われる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大については、全国に波及している状況から考えるに、そもそも一般的に呼吸器感染症が冬季に増加するものであるのに加えて、国のGo Toキャンペーン(Eatで会食が増え感染が広がり、トラベルで地方に広がったのだろう)の影響があったのではないかと言われている。ついに1月8日からは1都3県で、同14日からは追加で2府5県で緊急事態宣言が発令された。

 2020年4月の1回目の緊急事態宣言の際は、人の外出や飲食店の営業について「自粛」要請が出され、諸外国と異なり、お上に従順で同調圧力の強い日本人は自粛警察も登場するなどして感染者数の大幅な減少に成功し、「日本モデル」「民度が違う」などといった自画自賛を行っていた。

 こんな話も過去のものになった気がするが、今回、春の緊急事態宣言のときと異なるのは、飲食店の自粛要請に対する反発と、日本医師会など医療界に対する攻撃である。

 後者については、日本医師会会長の中川俊男氏が出した「緊急事態宣言の要望」に対して、経済重視派からの感情的な反発が中心だったようである。医療界でも、COVID-19関連の助成金をあまりもらえず、受診抑制で患者数が激減した診療科などからは反発があるようである。また、「日医は開業医の利権団体で、コロナを診ている医師の団体でない」と非難する人もいるが、「コロナを診ていない開業医」こそ緊急事態宣言では経済的にダメージを受けるのに、日医はあえて専門家の立場から緊急事態宣言による感染制御を意見したのだから、批判理由は的外れであろう。

 前者について、2回目の緊急事態宣言では居酒屋などの飲食店に営業時間の短縮を求めた。これに対して、十分な補償もないまま「自粛」を求め、従わない者は公表するというのは、「営業の自由」を侵害しているという発言をしている人もいる。なお、補償がないといいつつも1日6万円の協力金はある。閑古鳥が鳴いている小児科診療所には、このような手当はない。

著者プロフィール

たなべ のぼる氏〇 1984年に名古屋大卒。都立駒込病院に勤務し、名古屋大学大学院で血液内科学を専攻する傍ら、救急医療、臨床腫瘍学などにも従事。旧厚生省などでの勤務を経て2001年に弁護士登録。診療を行う傍ら、医師の視点で弁護士として、非常勤裁判官として、医療訴訟を中心に多くの事件を担当。中村・平井・田邉法律事務所に所属。

連載の紹介

弁護医師・田邉昇の『医と法の視点』
話題の医療・医学に関連したニュースを、臨床医(総合内科専門医・血液専門医)でもあり、旧厚生省の勤務経験を持つ田邉昇氏が、法律家の立場で易しく解説します。

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