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パワハラ防止が「法律」になった意味

2020/07/16
田邉昇(弁護医師、中村・平井・田邉法律事務所)

 2019年6月5日、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」の改正法が公布され、大企業では2020年6月1日に施行された。企業や病院に対して、職場でのハラスメント対策の強化が法律に基づいて義務付けられることになった。

 法律の名称が抽象的で、メディアなどではパワハラ防止法と呼んでいるようなので、本稿でもそう呼ぶことにする。2018年5月の本稿(「パワハラ」が成立するとき、しないとき)でもパワハラを取り上げ、厚生労働省がまとめた研究報告書の定義などを裁判例とともに紹介したが、法律に位置付けられたことで今まで以上にきちんとした対応が必要となった。もっとも、今回の法律は「パワハラはいけないことだよ」という内容よりも、企業にその防止体制を確立させることが主眼となる。企業規模によって施行時期が異なり、前述のように大企業は2020年6月1日から、中小企業は2022年3月31日までの努力義務期間を設けた上で2022年4月1日から施行することになっている。

 「大企業」の定義は業種ごとに定められており、医療機関などのサービス業では「資本金5000万円以上かつ、常勤職員100人以上」となっている。ある程度の規模の病院を運営している医療法人などは、大企業に当てはまるはずだ。

著者プロフィール

たなべ のぼる氏〇 1984年に名古屋大卒。都立駒込病院に勤務し、名古屋大学大学院で血液内科学を専攻する傍ら、救急医療、臨床腫瘍学などにも従事。旧厚生省などでの勤務を経て2001年に弁護士登録。診療を行う傍ら、医師の視点で弁護士として、非常勤裁判官として、医療訴訟を中心に多くの事件を担当。中村・平井・田邉法律事務所に所属。

連載の紹介

弁護医師・田邉昇の『医と法の視点』
話題の医療・医学に関連したニュースを、臨床医(総合内科専門医・血液専門医)でもあり、旧厚生省の勤務経験を持つ田邉昇氏が、法律家の立場で易しく解説します。

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