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COVID-19と産科原因分析報告書の「ケース公開」を考える

2020/04/08
田邉昇(弁護医師、中村・平井・田邉法律事務所)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猖獗(しょうけつ)を極めている。イタリアの様子などを見ていると、ペストがはやった時代もこんな感じだったのだろうかと思ったりする。1347~53年の間に、ヨーロッパの人口の3分の1となる2500万人の生命を奪ったとされているが、北里柴三郎がペスト菌を発見して、根絶の道を開いたことは、日本の医師なら皆知っているはずである。

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、2020年2月1日に感染症法上の「指定感染症」に指定された。その結果、PCR検査で陽性になれば症状がなくても隔離されるし、連結可能性のある匿名の個人情報(必要があればIDなどで個人と符合可能な情報)が公表されている。

※正式名称は「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」である。

 この指定感染症とは、感染症法第6条8項の定義によれば「既に知られている感染性の疾病(1~3類感染症および新型インフルエンザ等感染症を除く)であって、第3章から第7章までの規定(感染症情報の収集や公表、就業制限、消毒、交通遮断、医療)の全部または一部を準用しなければ、国民の生命および健康に重大な影響を与えるおそれがあるものとして政令で定めるもの」をいう。指定感染症への指定は、厚生科学審議会の審査を経た上で、1年限り(1年延長可能)の暫定的な措置となる(法7条)。

 当初、今回の新型コロナウイルスは2類感染症の規定を準用することになっていた。2類感染症は、1998年までは急性灰白髄炎(ポリオ)、コレラ、細菌性赤痢、ジフテリア、腸チフス、パラチフスの6種類だったが、2014年からは結核、SARS、MERS、鳥インフルエンザがラインアップに加わり、コレラ、細菌性赤痢、腸チフス、パラチフスが3類に落とされている。抗菌薬や輸液によって病状をコントロールできる疾病が3類になり、ウイルス性疾患が2類に増えていることが分かる。

 さらに、2月14日と3月27日に行われた政令の一部改正で、1類感染症にしか設けられていない「無症状病原体保有者への適用」や「建物の立入制限・封鎖、交通の制限」、新型インフルエンザ等感染症の規定である「健康状態の報告、外出自粛等の要請」などもCOVID-19で可能になった。執筆時点(4月2日)では、エボラ出血熱、ペスト、ラッサ熱などの1類感染症の規定を準用するような形になっている。

著者プロフィール

たなべ のぼる氏〇 1984年に名古屋大卒。都立駒込病院に勤務し、名古屋大学大学院で血液内科学を専攻する傍ら、救急医療、臨床腫瘍学などにも従事。旧厚生省などでの勤務を経て2001年に弁護士登録。診療を行う傍ら、医師の視点で弁護士として、非常勤裁判官として、医療訴訟を中心に多くの事件を担当。中村・平井・田邉法律事務所に所属。

連載の紹介

弁護医師・田邉昇の『医と法の視点』
話題の医療・医学に関連したニュースを、臨床医(総合内科専門医・血液専門医)でもあり、旧厚生省の勤務経験を持つ田邉昇氏が、法律家の立場で易しく解説します。

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