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人権侵害の医師法第21条通知、厚労省は廃省せよ

2019/03/01
田邉昇(弁護医師、中村・平井・田邉法律事務所)

 厚生労働省の劣化が著しい。現在、国会で話題になっているのが勤労統計調査の不正である。毎月の賃金の動向などを調査し、景気の分析や労働保険の給付金などの算定に用いられるのが「基礎統計」。本来、基礎統計は東京都の常用労働者数500人以上の事業所を悉皆的に調査すべきところ、2004年から手抜きをしてサンプル調査していたことが発覚したという事件だ。

 しかも、勤労統計の不正の影響で、2000万人近くに雇用保険などが過少給付されていた上、この不正を長らく隠蔽していたことが明るみになったのだ。ディオバン問題を巡っては厚労省が偉そうに刑事告発を行っていたが(結果は無罪)、数字も支払いもごまかし頬被(ほおかぶ)りしていたというのだから、厚労省のしたことの方が悪質性は遙かに高い。

 このように統計数値をないがしろするのは、医療事故調査の推定件数について、要件も母集団も異なる特定機能病院の事故報告数を前提に予測数値を出して財務省から予算を不当にせしめたあげく、予測数値を一人歩きさせてマスコミなどを誤導していることにも如実に表れている(関連記事)。

 そして先日、この厚労省がトンデモ通達を出した。2月8日付けで発出された都道府県部局長宛ての医政局医事課長通知である(関連記事)。医師法第21条の「異状」の定義に関する。いわゆる解釈通知である。

著者プロフィール

たなべ のぼる氏〇 1984年に名古屋大卒。都立駒込病院に勤務し、名古屋大学大学院で血液内科学を専攻する傍ら、救急医療、臨床腫瘍学などにも従事。旧厚生省などでの勤務を経て2001年に弁護士登録。診療を行う傍ら、医師の視点で弁護士として、非常勤裁判官として、医療訴訟を中心に多くの事件を担当。中村・平井・田邉法律事務所に所属。

連載の紹介

弁護医師・田邉昇の『医と法の視点』
話題の医療・医学に関連したニュースを、臨床医(総合内科専門医・血液専門医)でもあり、旧厚生省の勤務経験を持つ田邉昇氏が、法律家の立場で易しく解説します。

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