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HbA1cとグリコアルブミンの相互変換

2020/08/21
田原保宏(明舞中央病院糖尿病内科)

 今回のテーマは「HbA1cとグリコアルブミンの相互変換」です。糖尿病患者の血糖コントロール指標としてはHbA1cが最良のマーカーとされています。しかし、HbA1cでは血糖コントロール状態を把握できない症例があることや、血糖が急速に変化した場合はHbA1cの変化が遅れることが問題になっていました。このため、HbA1cに代わる第2の血糖コントロール指標が求められ、グリコアルブミンが開発されました。ところが、グリコアルブミンが普及すると共に、多数の臨床家から「グリコアルブミン値から血糖コントロール状態を判定するのが難しい」との指摘が寄せられました。日々の診療に用いているHbA1cとは異なり、グリコアルブミンには親しみがなく、数値を見ても高低に関する実感が湧かないのは仕方がありません。

このような要請に応えるため、私たちは両者が共に血糖に比例する指標であると考えて、

HbA1c(NGSP)=グリコアルブミン÷3

というグリコアルブミンからHbA1cへの変換式を提案しました。しかし、この式を提案した頃、私たちは重要なことが理解できていませんでした。それは
(1)HbA1cがゲタを履いていること
(2)通常の回帰分析では正しい変換式が得られないこと
の2つでした。前者は、HbA1cの国際標準化の過程で明らかになり、NGSP値は2.15%という大きなゲタを履いていることが分かりました1)。後者に関しては、Deming法という高度の統計学を使う必要があることが分かりました(注1)。

著者プロフィール

1967年東京大学工学部卒業、72年同大学院修了、72年~77年富士通研究所に勤務後、77年大阪大学医学部に編入。81年同卒業後、大阪大学老年科を経て1990年から明舞中央病院、2009年同院長。HbA1c、グリコアルブミンを中心に数学的手法を用いた糖尿病の臨床研究を展開。

連載の紹介

田原保宏の「数理糖尿病学」
HbA1cに関する多くの問題について数学的研究を進めたことから田原氏が創成したのが「数理糖尿病学」です。糖尿病に関するさまざまな課題を数理糖尿病学で解くとどうなるか、詳しく解説していきます。

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