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HbA1cと血糖の関係はどんな機構で決まるか?

2020/05/07
田原保宏(明舞中央病院糖尿病内科)

はじめに

図1 HbA1cと過去の血糖の関係
(画像をクリックすると拡大します)

 前回の数理糖尿病学で「HbA1cはいつの血糖を表すか?」について解説しました。その内容は、HbA1cは過去4ヵ月の血糖を反映するが、その寄与率は時期によって異なり、直前の1ヵ月の血糖が50%、その前の1ヵ月の血糖が25%、更に前の2ヵ月の血糖が残りの25%の寄与をするということでした(図1)。このHbA1cと過去の血糖の関係は、教育入院をした症例におけるHbA1cの経過を分析した結果から得られた結論です。

 皆さんはこのような解析結果のみでHbA1cと過去の血糖の関係について十分に理解あるいは納得できるでしょうか? 私は、このような記述を見るといつも次のような2つの疑問を持ちます。
① この結果は科学的に正しいのか? 何らかの特別な事情で偶然一致したに過ぎないという可能性はないのか?
② もし、この結果が正しいとすれば、それはどのようなメカニズムで起こるのか?
という2つです。この2つの疑問に答えることができれば、上記のHbA1cと血糖の関係は真に科学的な結果であると言えます。

 HbA1cと血糖の関係は糖尿病学におけるとても大切なテーマですが、数理糖尿病学を臨床で応用するためにも極めて重要な問題です。今回は、HbA1cの生成代謝過程をきちんと解析し、改めてHbA1cと過去の血糖の関係について考えたいと思います。

著者プロフィール

1967年東京大学工学部卒業、72年同大学院修了、72年~77年富士通研究所に勤務後、77年大阪大学医学部に編入。81年同卒業後、大阪大学老年科を経て1990年から明舞中央病院、2009年同院長。HbA1c、グリコアルブミンを中心に数学的手法を用いた糖尿病の臨床研究を展開。

連載の紹介

田原保宏の「数理糖尿病学」
HbA1cに関する多くの問題について数学的研究を進めたことから田原氏が創成したのが「数理糖尿病学」です。糖尿病に関するさまざまな課題を数理糖尿病学で解くとどうなるか、詳しく解説していきます。

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